晴れの日であれば、ちょっと気分を変えたい程度の何気ない言葉になっていたでしょう。しかし生憎ながら、この日の空は雲が出ていて天気が良いとは言えません。太陽が見たいのに、邪魔をする雲を取り除く方法もありません。

何とかしたいのに何もできないという、やるせなさがあります。また窓際には、「君」が水をあげていたサボテンもあるはずです。「君」はいないのにサボテンだけは残っているという情景も、哀愁を感じさせますね。

分身ではなくなったサボテン

知らん顔で黙ったサボテン

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ここで「僕」がサボテンに対して、少し違う印象を感じ始めています。ここまでのサボテンは「君」が手入れしていたものであって、「君」のやっていたことを思い出させてくれるアイテムでした。しかしここでのサボテンは、無関心を装いながらも「僕」の側にいる存在になっています。

「君」とどう向かい合うべきか、サボテンが「僕」に問いかけているように感じます。

やわらかいトゲが刺さる

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サボテンの特徴と言えば、鋭いトゲですよね。

当然素手で触れば指に刺さります。ここでは敢えて、「やわらかいトゲ」と書かれています。サボテンがそれほど成長しておらず、トゲも硬く鋭いものではなかったということでしょう。「僕」はサボテンのことには気付いていても、トゲがまだやわらかいことさえ見落としていたかと思います。

トゲによる身体的な痛みと「君」のささやかなサインに気付けなかった罪悪感を、重ね合わせているのでしょう。

前向きになった「僕」

ほら 薄日も射してきた

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ここまで「僕」は「君」の存在価値の大きさと、そんな「君」との時間をないがしろにしてきたことに後悔していました。

ここで負の感情に押しつぶされるだけではなく、「僕」が日の光とサボテンのおかげで、ようやく自分の気持ちに素直に、そして「きっとうまくやれるはず」と前向きになってきています。

ここまで空を覆っていた「不機嫌な雲」の合間から、ようやく太陽が顔を出し始めたという情景が良いですよね。「僕」の中にある「不機嫌な雲」も減ったことを思わせてくれます。

小さな花を咲かそう

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サボテンでも大きな花をつける品種もあります。ですがここで言われているサボテンは、窓際に置くくらいの、それほど大きなものではないのでしょう。まだトゲもやわらかく小さなサボテンも、いつかは花を咲かせる。

「僕」も負けないように、小さくても、しっかりした花を咲かせたいという決意が感じられます。

終わりに

「サボテン」の歌詞の面白さは、同じサボテンに対して、「僕」や「君」が少しずつ違った感情を見せているところだと思います。

序盤では「僕」にとってのサボテンは「君」の分身のような存在でした。サボテンを通じて「君」が何を感じていたのかを、「僕」は思い返していきます。その部分では「君」の感じていたことに対して気付いてやれなかった、「僕」の深い後悔を感じさせます。

しかし最後には、サボテンの中に未来への希望を見つけています。「君」の存在の大きさに気付いたことで、「僕」はやっと大地に根を張ることができたのだと思います。

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