生きる理由

僕の中を光らせる鍵を
なぜに君に持たせたのか
そのワケをただ知るそのために
生きてみるのも悪くはないよね

出典: 祝祭/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

世の中に面白味を見出せないでいる様子の主人公ですが、彼女が側に居る時だけは話が違うようです。

自分が輝くのは彼女が居るからだと理解しているようです。

そしてその鍵を持っているのは彼女だけだとも感じていますね。

主人公はあまり人に心を開かないタイプの人間なのかも知れませんね。

そんな自分の心を開く鍵をなぜ彼女だけが持っているのか?

不思議に思うと同時に、とても魅力を感じているようです。

運命の赤い糸ならぬ、運命の心の鍵ですね。

「自分が一生添い遂げるのはこの人しか居ない」という主人公の意思を感じる事のできる章でした。

君がいい理由

君の中にあるもの

君じゃないとないよ
意味は1つもないよ
ムキになって「なんでよ?」
って聞かないでよ

出典: 祝祭/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

サビでは主人公とヒロインが会話をしていますね。

カップルがイチャイチャと楽しげにやり取りしているようにも見えます。

こんな会話は中々恋人同士でなければ出来るものではないと思うので、2人は既に恋人同士なのでしょう。

何気ない会話の中で彼女でなければならない理由=彼女が主人公の心の鍵を持っている理由についての話になったのでしょうか。

どうして自分でなければならないのかを知りたがる彼女に対して、主人公は少し説明するのを渋っていますね。

意味はないとすら言っています。どうしてなのでしょうか?

主人公が彼女にこだわる事に特に意味はないのかも知れませんが、何かしらの理由が隠されているような気がしますね。

シンプルで簡潔な事

キリがないが言うよ
君がいい理由を
2020番目からじゃあ言うよ
1番目は君があてて

出典: 祝祭/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

サビの後半ではついに主人公が折れましたね。

「君がいい理由」について語っています。

そしてその理由は何と2020個もあるようです。

主人公があまり答えたがらなかったのも、この膨大な数が1つの原因だったのかも知れませんね。

2020といえば映画公開の翌年であり「天気の子」劇中より1つ前の年です。

歌詞を書いた野田洋次郎が劇中の時間軸と歌詞の中の時間軸を合わせていると仮定します。

そうすると、主人公とヒロインが恋人同士になったのが丁度2020年だったのではないかと予想する事が出来ますね。

主人公には彼女と付き合うまでに数えられる西暦の分だけ「君がいい理由」があるのです。

本当はもっと少ないのかも知れませんが、それだけ彼女への愛が大きいという事なのでしょうね。

数字が大きいほど重要度が低いのでしょうか。

最後の理由である「1番目」は彼女に答えてもらいたいと言っています。

主人公は初め「君がいい理由」を答える事を渋っていました。

その理由は数が多すぎるから。でしたが、もう1つあるのではないでしょうか。

それはおそらく「理由というには単純過ぎて口に出すのが恥ずかしいから」なのだと思います。

主人公は彼女の事が好きで好きで堪らないのです。

つまり1番目の理由は「好きだから。愛しているから。」なのでしょう。

色々理由はあれど恋愛とは結局これに尽きると思います。

むしろコレがなくては何も始まりません。

なるほど、サビの最初で主人公があまり説明したくなさそうにしていたのも納得出来ますね。

救世主

君の大げさなその声で
僕の名前が呼ばれる時
なんてことないこの命が
急に特別なものになる
臆病とは病だとしたら
治る気配もない僕の
目の前に現れたあなたは
まるでさも救世主のような顔で

出典: 祝祭/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

2番Aメロの歌詞は1番と似ていますね。

彼女の持っている鍵で主人公の心が解き放たれ、輝き出す瞬間を表しています。

2人がどこで出会ったのかは定かではありませんが、ウジウジと心に鍵を掛け引き籠もっていた主人公。

そんな姿を見かねて外に引っ張り出したのがヒロインだったのです。

1人では治る見込みすらなかったのでしょう。

絶望的な気分だった主人公を地獄の底から救い出したヒロインはまさに救世主。

この出来事から主人公が彼女に惹かれ始めたのだろうなと推測出来ますね。

移りゆく天気の中で

君じゃないとダメな
理由を全部言ったら
次は君が答えてくれるかな
天気雨くらい気まぐれな相づちで
はぐらかされるかな
それはそれでまぁいいか
君じゃないとないよ
意味は1つもないよ

出典: 祝祭/作詞:野田洋次郎 作曲:野田洋次郎

いつも主人公よりも彼女の方が一枚上手なようです。

「君がいい理由」の返答は期待していない様子が見て取れます。

それでもいいかと思えるくらいに彼女に心酔しているのですね。

もはや主人公にとって、自分を救ってくれた彼女は人間を超えた存在なのかも知れません。

さっきまで晴れていた空が気まぐれに雨を降らすように、彼女の気まぐれも当たり前のように受け入れているのでしょうね。

これから先もずっと、ヒロインは主人公の救世主であり続けるのだろうなと感じられる歌詞です。

少し頼りない印象を受ける主人公ですが、天真爛漫で元気いっぱいなヒロインと上手くバランスが取れているように思えます。

控えめな性格とヒロインに対する感謝と憧れが、上手く2人の間の調和を図っているのかも知れませんね。