前に進み始める
君の吹いていた口笛が
夢に出てくる夜
悲しみは全部色褪せて
今ドアに手をかける
出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
ようやく涙も枯れて、部屋の外へと出ようとしています。
夢の中で口笛を吹く君の姿を見たことで安心したのではないでしょうか。
それが遥か遠くの世界だとしても、君が元気でやっているなら自分も元気になろうと思えたのだと思います。
夜空と見える
光は揺れない
雨、雨
出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
満天の星空が降りそそぐ雨に見えたのでしょう。
星の光を雨に例えている美しい詞です。
日々は続く
バラバラになって
ぼろぼろになって
またひとつになって
そうして続いてく
出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
この詞は「人間関係」を表わしているのだと思います。
人生とは別れと出会いの連続です。
楽しいことばかりではないけれど、それでも日々は続いてゆくのだということを伝えたいのではないでしょうか。
びしょ濡れになって
ひとりきりだって
声も出せなくて
それでも続いてく
出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
こちらの詞も同様で、例え孤独になっても日々は続いてゆくのだということを歌っています。
涙を流していても慰めてくれる人がいるとは限りません。
声に出せない悲しみに、誰も気付いてくれないことだってあります。
それでも歩き続けなければいけないのが人生なのです。
この詞を絶望と捉えるか、希望と捉えるかは聴き手によって変わるかと思います。
空の上の君
雨が降りだして
きみをおもう
傘は置いてきた
幾つもの夜を越えてから
また空で会いましょう
雨、雨、
それでは、
そのときまで
さようなら
出典: 雨/作詞:塩塚モエカ 作曲:塩塚モエカ
雨で君を思い出す様子は変わっていません。
しかし、その雨の中を傘もささずに駆け出す勇気が現在の主人公にはあるのです。
さらに、この詞から君は亡くなった存在であるということも分かります。
君との関係が友人であったのか恋人であったのかは分かりませんが、吹っ切れたときが本当の別れです。
もしかしたら、主人公にとっての雨は雲の上にいる君との繋がりを感じられるものだったのかもしれません。
そして、最後の別れの言葉の真意は「また会える」という前向きな気持ちなのだと感じさせます。
止まない雨が無いように、悲しみもいつかは治まるということをこの曲で伝えたかったのではないでしょうか。
ギターが余韻を残しつつ、曲は終わります。
誰に向けたメッセージ?
雨と時間
【雨】は君との突然の別れに悲しむ主人公が元気を取り戻すというストーリーでした。
しかし、一つ気になることがあります。
主人公が元気を取り戻したきっかけが歌詞の中で描かれていないという点です。
歌詞の文字だけを見てストーリーを追っていくと、突然主人公が吹っ切れたように感じてしまいます。
主人公が元気を取り戻したきっかけとは一体なんだったのでしょうか。
その答えは『時間』だと思います。
雨という現象を目に見える時間として置き換えているのです。
歌詞の中では降り出した雨が止んで、また降り出すということで時間の経過を表しています。
その間で主人公が吹っ切れた理由を探すとしたら、やはり時間そのものが心を癒したではないでしょうか。
さらに、下記のような時間について綴った詞が二度登場します。