2番Aメロ
この時計を左向きに回せたって
それくらいさ
となりの世界じゃどれもガラクタで
価値のないものらしい
出典: 桜花ニ月夜ト袖シグレ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
本来時計の針は右回しですが、ここでは「たとえ時計の針を左回しに回せたとしても、何も変わらない」という無常観を表しています。
最初のサビにあるように「理に叶わなくても」という言葉が、ここに当てはまりますね。
次の、「ガラクタで価値のないもの」とは一体何なんでしょうか?
時計の針を左回しに回せるような意味のない空虚なこと、という意味にも取れますし、主人公の「桜花」さんに対する恋心とも取れますね。
2番Bメロ
いつしか誰かと愛を紡いだって
泣きそうな夜は
傘を差してあげよう
出典: 桜花ニ月夜ト袖シグレ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
「誰かと愛を紡いだって」と感じてしまう主人公は、これが叶わぬ恋だということを徐々に感じ始めているのでしょう。
自分は、彼女が傷ついた時の逃げ場所になってやるという、半ばあきらめにも似た感情が「傘を差してあげよう」という言葉に集約されていますね。
「月の光」に惑わされてしまった主人公
2番サビ
桜花 ボクは恋に落ちた 水面の月を求めた
されど手遊ぶはガラスの色
千の夜が瞬く間に 闇夜を縫って君を隠す
行き場のないこの手は空を切る
出典: 桜花ニ月夜ト袖シグレ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
Bメロで、主人公の恋は叶わぬ恋だというのが明らかにされましたが、サビの歌詞を見ると、いよいよそれがハッキリ分かってきます。
「水面の月を求め」てしまった主人公は、「桜花」さんが高根の花であることを悟ってしまうのです...。
その幻の月が闇夜に隠れるとき、なすすべのない主人公は途方に暮れるしか手立てがありません。
直接、叶わぬ恋と書かず、物体として存在しないもの(水面の月)を介して表現しているこの箇所は、せつない主人公の心情も感じられ、文学的ですね。
Cメロ
ねえ 見えなくたって構わない
好きだって言わせてよ
いつまでもここにいるんだ
出典: 桜花ニ月夜ト袖シグレ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
主人公は「桜花」さんに対して、一世一代の恋をすることに決めたようです。
「いつまでもここにいる」という文章から、並々ならぬ主人公の思いが伝わりますね。
曲も終盤ですが、主人公の相手である「桜花」さんの気持ちがまったく描かれていません。
終始、主人公の視点から描かれています。
こういったことから、100パーセントの確率で主人公の恋は破れるんだということを、聞く人に気付かせてくれます...。
大サビ
桜花 隣にいるのになあ
遥か遠く 遠く 遠く 咲き乱れる
ボクは幸せだ 泣かないから
千の夜に閉ざされても 理に叶わなくても
キミに届け 月夜ニ袖シグレ
出典: 桜花ニ月夜ト袖シグレ/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
片想いの相手が近くて遠い存在だったら、その恋の結末もドラマティックになるのではないでしょうか?
「隣にいる」ということは、「桜花」さんは主人公と近しい存在なんだということが分かります。
おそらく同級生なのでしょう。
その「桜花」さんと結ばれることができず、恋は破れさってしまう。
「遠く咲き乱れる」のは、主人公の情念でしょう。
タイトルにもある「月夜ニ袖シグレ」という、限りなく美しい言葉の裏には、限りなく悲しい主人公の恋があったわけなんです...。
美しさと悲しさ、間近と間遠。
この2つの対比がよりいっそう聴く人を感動させることでしょう。
まとめ
いかがでしたでしょうか?
今回は『月夜ニ袖シグレ』の歌詞を中心に解説してきました。
筆者は、近くにいても遠い存在である彼女に対して命がけで恋する主人公に、共感してしまいました。
誰もが一度は片想いの経験があるかと思います。
それが、この曲の主人公と同じく、命がけの片想いかどうかは、人それぞれだと思います。
しかし、大人になってその頃のことを思い出すと、締め付けられるような切なさではなく、喜びの感情がいち早く表れます。
今、命がけで恋愛している方、命がけで誰かを思い続けている方、ぜひこの曲を聴いて心を洗ってみてはいかがでしょうか?