『シン・エヴァンゲリオン新劇場版』主題歌

宇多田ヒカル【One Last Kiss】歌詞を解釈!モナリザとは?寂しくないふりをする理由を深読みの画像

これまでヱヴァンゲリヲン新劇場版シリーズの全てに楽曲提供をしてきた宇多田ヒカル

2021年3月に発売された「One Last Kiss」はそれに続く、そして最後のナンバーとなりました。

シリーズ完結作『シン・ヱヴァンゲリヲン新劇場版』主題歌として宇多田ヒカル自ら書きおろした楽曲

「ルーブル」「モナリザ」などのワードが気になったという方も多いのではないでしょうか。

また、どこか切なさを感じさせる歌詞は一体どのような物語を描いているのでしょう。

美しいメロディーと共に揺れる主人公の心情についても深読みしていきます。

切っても切れない宇多田ヒカルと『エヴァンゲリオン』

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新世紀エヴァンゲリオン』。

1995年からTVシリーズとして放送が開始された庵野秀明監督のアニメーション作品です。

日本だけでなく世界中をも巻き込み社会現象となった、90年代を象徴する作品。

そんな『エヴァンゲリオン』シリーズ完結作のテーマソングとしてリリースされた「One Last Kiss」。

リリース当初から、その楽曲や世界観も大きな注目を集めました。

また、前作『ヱヴァンゲリヲン新劇場版:Q』のテーマソング「桜流し」のエピソードも関わっています。

宇多田は音楽活動休止中であったにも関わらず、彼女自身の強い思いから楽曲提供したといわれています。

きっと宇多田本人にも『新世紀エヴァンゲリオン』という作品に強い思い入れがあったのではないでしょうか。

そんな彼女にしか作ることの出来なかった楽曲が「One Last Kiss」です。

この曲には一体どのような思いが込められているのでしょうか。

テーマは“別れ”

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楽曲タイトルを直訳すると「最後の一つのキス」となります。

そして、歌詞の中で何度も繰り返される「忘れられない」という言葉。

また『シン・ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のビジュアルポスターにも注目しましょう。

大きく書かれているのは“さらば、全てのエヴァンゲリオン。”というメッセージ。

「最後」「忘れられない」「さらば」。

このキーワードからも、映画、音楽共に「別れ」をテーマにしていると考えられます。

MVでは様々な表情を見せる宇多田ヒカルだけが色んなアングルから映し出されています。

彼女は笑顔で幸せそうなのに何故か胸がキュッと苦しくなる。

庵野秀明監督が自ら編集したというMVです。

そんな切ないMVを思い浮かべながら歌詞について深堀りしていきましょう。

動き出す歯車

ルーブル美術館も敵わないほどの“あなた”

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初めてのルーブルは
なんてことはなかったわ
私だけのモナリザ
もうとっくに出会ってたから

出典: One Last Kiss/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada

「ルーブル」や「モナリザ」という印象的なワードで始まるこの曲。

「ルーブル」といえばフランス・パリにある「ルーブル美術館」のこと。

「モナリザ」はそこに展示されているレオナルド・ダ・ヴィンチの名画です。

曲の冒頭では、あの有名なルーブル美術館に生まれて初めて訪れた主人公の姿が浮かび上がります。

だというのに、まるで印象が残らなかったかのように語る主人公。

その理由は、とっくに「自分だけのモナリザ」に出会っていたからでした。

主人公の指す「モナリザ」とは一体どういう意味なのでしょう。

私の「モナリザ」は“あなた”

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ルーブル美術館がなんてことないと思うほどの存在である私の「モナリザ」。

主人公がこのフレーズに込めた想い。

「出会った“あなた”は、世界的な名画であるモナリザと同じくらいに魅力的だった。」

そんな強い想いを表現しているといえます。

このことから「モナリザ」は主人公にとっての“あなた”だということが分かります。

そして感じる“あなた”を失う予感

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初めてあなたを見た
あの日動き出した歯車
止められない喪失の予感

出典: One Last Kiss/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada