寂しさを感じたけれど、それに気付いていないふりをしていた。

「寂しい」と言ってしまうと、どんな反応をされるか分からない。

きっと自分が傷つくことが怖かったのでしょう。

この時、主人公は気付きます。

「誰かを好きになるということは傷つくこと」なのだと。

そして、「今思えばそれはお互い様だったのかもしれない」と。

「ヤマアラシのジレンマ」という言葉を思い出した人も多かったかもしれません。

どうせ忘れられないのなら

宇多田ヒカル【One Last Kiss】歌詞を解釈!モナリザとは?寂しくないふりをする理由を深読みの画像

燃えるようなキスをしよう
忘れたくても
忘れられないほど

出典: One Last Kiss/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada

けれど“あなた”を忘れられない。

どれほど忘れたくても、忘れられないのです。

どうせ忘れることが出来ないのなら、燃えるキスをしてとことん忘れなければいい

そうでしょう?

だから、最後に私にひとつキスをして。

そう願う主人公。

これは、主人公の「諦め」と「未練」を感じることが出来るフレーズといえるでしょう。

そして未来へ

“あなた”は終わりまで忘れられない人

もう分かっているよ
この世の終わりでも
年をとっても
忘れられない人

出典: One Last Kiss/作詞:Hikaru Utada 作曲:Hikaru Utada

たとえこの世が終わる瞬間でも、どれだけ年をとったとしてもあなたは忘れられない。

そんなことは分かっていると主人公は感じています。

この言葉から“あなた”は主人公の心に永遠に残り続ける人物だということが読み取れます。

今後もし他の人と結ばれたとしても、きっと“あなた”だけは忘れることが出来ないのです。

それほど“あなた”は主人公にとって大きな存在でした。

ルーブル美術館がなんてことないほどに

冒頭で“あなた”を「モナリザ」と表現した理由が分かったような気がしますね。

去っていく風と、追いかけた眩しい午後

曲のラストでは、“あなた”がいなくなった切なさを「風」と。

そしてこれからの未来を「眩しさ」と表現しています。

私には別れだけでなく、眩しい未来が待っている。

そんなポジティブなメッセージが隠されているのでしょう。

爽やかな風、キラキラと輝く太陽が頭に浮かぶような美しいラストです。

美しく切ない別れを描いた一曲

宇多田ヒカル【One Last Kiss】歌詞を解釈!モナリザとは?寂しくないふりをする理由を深読みの画像

『シン・ヱヴァンゲリヲン新劇場版』のテーマソングとして書きおろされた「One Last Kiss」。

美しく切ない別れを描いた一曲でした。

ルーブル美術館が霞むほどの存在だった“あなた”。

自分だけの「モナリザ」だった“あなた”。

そんな“あなた”に、主人公は「寂しい」と伝えることが出来ませんでした。

傷つきたくなかった

だから知らないふりをした。

けれどそれが結局、“あなた”との別れに繋がってしまいます。

映画の中で描かれている「別れ」も、このように美しくて切ないものなのかもしれません。

別れは悲しいものだけれど、最後にはキラキラと輝く未来がある。

だけど愛していた“あなた”のことはこの世が終わったとしても忘れない。

宇多田ヒカルの生み出す、リズミカルなメロディーにのせて歌われた「別れ」の曲。

辛い別れを経験した方にもぜひ聴いて欲しい、切なくて優しい一曲です。

宇多田ヒカル×エヴァンゲリオンの世界を深掘り

宇多田ヒカル【One Last Kiss】歌詞を解釈!モナリザとは?寂しくないふりをする理由を深読みの画像

先程も触れた通り、「新劇場版」となってからずっと主題歌を手掛けてきた宇多田ヒカル

」で主題歌に起用されたのが「Beautiful World」です。

どこか危うい美しさと、変化の予感を描き出すナンバー。

「ヱヴァンゲリヲン新劇場版」シリーズが完結した今こそ改めて聴き直したい一曲です。

宇多田ヒカルさんの名曲に数えられる「Beautiful World」。映画『ヱヴァンゲリヲン新劇場版』の主題歌としても有名な曲です。タイトルの「美しい世界」をそのまま表したような、美しさが詰め込まれた曲の歌詞を探っていきます。歌詞に登場する主人公とその大切な人についても考えてみましょう。