『Divine Wind -KAMIKAZE-』に魅せられたアスリートたち
AK-69の楽曲を知らない方でも「あ、この曲聴いたことがある」と気づく瞬間。
恐らくそれは、スポーツ選手の入場曲やテーマ曲として流れたときではないでしょうか。
ファンならずとも記憶に残るパワフルな楽曲は、極限状態で闘うアスリートの魂を更に激しく燃え上がらせます。
今回ご紹介する『Divine Wind -KAMIKAZE-』も例外ではありません。
闘う者たちのアンセム
日本語のHIP HOPは英語に負けてはいない。むしろ上回っている。
そんな印象すら抱かせる楽曲ですね。
大相撲、ラグビーなど複数のスポーツ界が魅了され、テーマソングとしての使用を熱望した『Divine Wind -KAMIKAZE-』。
彼らを熱くさせる要因はどこにあるのでしょうか。
歌詞の意味を紐解きます!
勝てるという自信が勝利の風を呼び込む
肩落とすSaturday 感じる肌でI know it’s faraway
また一人敗れてく 散った奴らの分まで
出典: Divine Wind -KAMIKAZE-/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI,AK-69
スポーツに限らず、人々は常に何かと闘っているのかもしれません。
例えばビジネスマン。月曜から金曜まで働き、何も得るものがない一週間だったことに落胆することもあるでしょう。
たった5日や6日の努力では報われないということです。
「faraway」は遠い場所。つまり成功や勝利は遠い場所にあるからこそ、ちょっとやそっと頑張ったぐらいでは届きません。
届かないからといって努力を怠った者から脱落していきます。
しかし、努力をしても報われずに諦める者もいるでしょう。
夢だけを追っていては家族を食べさせていけないからといって、その場を離れていくケースだってあります。
スポーツ選手はプロとして認められれば1年間の生活は保証されるかもしれません。
しかしそこに辿り着くためには稼ぎがないままトライアウトを受け続ける必要があります。
プロになったとしても大きな故障を抱えれば翌年は絶望的かもしれません。
皆が皆、努力し続けられるわけではないのです。
ここで「散る」と表現しているのは、こうした「散らざるを得なかった者」を指しているのでしょう。
吹かす神風 泣き腫らした目 一歩たりとも引かねぇ
背負う覚悟と運命(さだめ) 散った奴らの分まで
出典: Divine Wind -KAMIKAZE-/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI,AK-69
神風はその名の通り「神が吹かせる風」ですが、ここではまるで自分の力で風を起こすような表現がされています。
この曲の主人公は、諦めざるを得なかった仲間たちの無念を全て引き受けると誓います。
風を起こせるという自信、仲間の意志を受け継ぐという決意。
これらから、主人公は必ず勝利できると確信しているのだと読み取れます。
アスリートは常に自信とともにいます。
成功をイメージし、自分がなぜ勝利できるのかを独り言として呟きながら闘います。
自信がなければ勝利は掴み取れない。
この曲のサビとなる当セクションをまとめると、このワンフレーズに尽きるでしょう。
過去を現在・未来にするのは誰?
悲しみに暮れている人に100%共感できるのは、どういった人でしょうか。
きっと同じような悲しみを感じたことがある人だけが共感できるのです。
負けの裏にあるドラマ
今何想う 居ねぇ誰も このグラウンド 奴らに祈る
あの歓声 走馬灯のよう 負けらんねぇ 飛び交う怒号
組むスクラム 同じ釜の飯食って来たタフな仲間
共に流す血汗涙 言葉いらねぇ 心を繋いだ
出典: Divine Wind -KAMIKAZE-/作詞:AK-69 作曲:RIMAZI,AK-69
分かりやすい例を挙げると、スポーツの世代交代でしょうか。
負ければ引退の大一番に敗れたあとのグラウンドは、昨日までの熱量が嘘のように静まり返っています。
主人公は敗退とともに全て忘れ、世代交代を受け入れたわけではありません。
チャンスに沸くベンチや、相手にリードを許したときのファンからのブーイング。
特にプロスポーツの世界はとてもシビアですから、勝てば官軍負ければ賊軍なのです。
喜びと苦しみが入れ代わり立ち代わり訪れた闘いの場を忘れることはできないでしょう。
負けをもってスポーツ界を退いたこと。負けた瞬間に流れた大粒の涙。
どんな状況にあっても励まし合ってきた仲間ですから、彼らの気持ちは痛いほど分かるはずです。
彼らの無念を晴らすために、主人公は勝利に向かう決意をします。