君立つ夏原、髪は靡くまま、泣くや雨催い夕、夕、夕
夏が終わって往くんだね
そうなんだね
出典: 夜行/作詞:n-buna 作曲n-buna
主人公は少女と過ごした思い出を追想し、涙を流しています。
それは夕立の雨が雨樋を伝っていくようなものなのでしょう。
少女のことを追想しながら、主人公は夏の終わりを感じています。
夏が終わるように、少女が亡くなってしまったことと重ねているのでしょう。
大人になるということ
戻らない過去との区切り
そっか、大人になったんだね
出典: 夜行/作詞:n-buna 作曲n-buna
少女が亡くなってしまったのはずっと昔のことだったのでしょう。
そこから主人公だけが何度も夏を体験し、その度に少女のことを思い出していたはずです。
しかし時が経つにつれて主人公の中で少女の存在は思い出となっていきます。
思い出は過去であり、そこには決して戻ることはできません。
そして少女が戻ってくることもないのです。
そのことを主人公は夏の終わりとともに自覚したのでしょう。
主人公はこれまで戻らない過去に固執して泣いていました。
しかしその過去と思いに区切りをつけることで主人公は時の流れと大人になったことを受け入れたのです。
受け入れた死
はらはら、はらはら、はらり
晴るる原 君が詠む歌や 一輪草
他には何にもいらないから
波立つ夏原、涙尽きぬまま泣くや日暮は夕、夕、夕
夏が終わって往くんだね
僕はここに残るんだね
ずっと向こうへ往くんだね
そうなんだね
出典: 夜行/作詞:n-buna 作曲n-buna
最後のサビの歌詞です。
主人公の中で少女の存在は忘れられない大切な存在だったのでしょう。
主人公の心には少女との思い出があります。
これまでの主人公はそれを思い出して泣いてばかりでした。
どれだけ泣いても、少女はずっと遠くへいっていなくなってしまったことは変わりません。
そして主人公は夏の終わりに自分だけが残されたことも受け入れているのです。
それは大切な人の死を受け入れるということであり、それも大人になることの1つでしょう。
今までは亡くなった少女を追憶し、主人公はその時に留まっていたのかもしれません。
しかしようやく前に進む一歩を踏み出せたのです。
主人公はこれから1人で生きていくことを自覚しているのだと読み取れます。
最後に
歌詞に込められたストーリーに切なさが漂い、大人になることの意味を考えさせられます。
切ない歌詞とメロディが素敵な楽曲なので、ぜひ聴いてみてください。
『夜行』には夏の景色を多く想像できますが、ヨルシカには他にも夏の季節を感じられる曲があります。
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こちらの記事では『ただ君に晴れ』の歌詞を読み解いています。
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