アルバム「COSMONAUT」に収録
「beautiful glider」はアルバム「COSMONAUT」の最後に収録されています。
「COSMONAUT」は宇宙飛行士という意味があることから、しっかりと背中を押してくれる曲といえるでしょう。
「glider」とはエンジンのついていない飛行機のことです。
空から滑空していく姿が優雅で、下から見上げると身持ち良さそうに見えるでしょう。
しかし実際に操縦するパイロットは常にハラハラしながらコクピットに座っているのではないでしょうか?
それもそのはず、狙っている気流を逃してしまうと地面に向かって真っ逆さまになってしまいます。
操縦士は飛び続けるために経路を選びながら真剣勝負をしているといえるでしょう。
だからここで使われている「beautiful(素晴らしい)」のようにお見事なのです。
「beautiful glider」の歌詞を解説!
この曲はギターのアルペジオが非常に美しく、藤原さんの優しい歌声が重なることで癒し効果が期待できます。
朝目覚めたときに「beautiful glider」を聴くことで「今日も一日頑張ろう!」と思えるでしょう。
また夜眠る前に目を閉じて聴くと、頑張った自分を労ってあげられるはずです。
それくらい曲自体が美しく滑空していて、景色の一部として存在しているような曲といえるでしょう。
ではさっそくグライダーのコクピット(歌詞)を覗いてみようと思います。
羽根のない生き物とは?
⽻根の無い⽣き物が⾶べたのは ⽻根が無かったから
僕にはとても出来やしないけど 同じ⽣き物だ
出典: beautiful glider/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
ここで出てくる生き物とは人間のことです。
初めて空を飛んだ先人たちに対して敬意を表しているのでしょう。
ここで重要なのは「なぜ先人たちは飛ぼうと思ったのか」ではないでしょうか?
人類初の飛行を成功させたのは、熱気球を作ったフランスの「モンゴルフィエ兄弟」です。
その後ハングライダーの実験を行ったドイツの「オットー・リリエンタール」が人類に希望をもたらしました。
後に「リリエンタール」の功績をもとにアメリカの「ライト兄弟」が飛行機を作って飛行を成功させます。
このように人類は「空を飛ぶこと」によって明るい未来を築き上げてきたといえるでしょう。
そして「できないことを可能にする」ことで人々の背中を押したかったのではないでしょうか?
自分自身が「空を飛んでみたい」という気持ちの方が強いでしょうが、結果として人々に勇気を与えました。
「僕」は無理だといっているけれど「僕も一度は飛んでみたい」という気持ちを持っているはずです。
「あなた」の無事を祈る
⼿を振ったあなたの無事が 今でも気に掛かる
夜明け前
出典: beautiful glider/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
この歌詞から推測すると「僕」は地上にいるのでしょう。
そして先に飛び立っていった「あなた」が帰還できるのか心配している様子です。
ここで出てくる夜明け前とは真夜中の一番暗い時間帯のことを指しているのでしょう。
つまり「あなた」はたった今難局に遭遇しているのではないでしょうか?
考察をわかりやすくするために、飛び立つ前の「僕」と飛び立った「あなた」の2人で話を進めていきます。
やりたいことの逆とは?
やりたい事に似た逆の事 誰のための誰
分かち合えない⼼の奥 そこにしか⾃分はいない
出典: beautiful glider/作詞:藤原基央 作曲:藤原基央
やりたいことの反対は「今のままでいること」といえるでしょう。
やめたいことだと「すでにやっていること」が前提になるため、現状維持の方がしっくりきます。
やりたいことは誰のためにやるのか、今のままでいることは誰のためなのかわからなくなっているのでしょう。
まるで禅問答のようですが、答えを出さなければならない局面なのは間違いありません。
これは地上にいる「僕」も、飛んでいる「あなた」にも共通している葛藤だといえます。
両者の難局は自分自身にしかわかりません。
天地を隔てて離れている2人は無事を祈ることしかできず、助けてくれる人は自分しかいない状況です。