あなたに会いたいよわがまま言ったら
誰か傷つけてしまうでしょう
出典: 月と水鏡/作詞:秋元康 作曲:石井健太郎
その存在が手に入らないということを受け入れていたかのように感じた主人公。
しかし、ここでは「あなた」に対しての想いを打ち明けています。
きっと主人公にとって、その相手は大切な人なのでしょう。
近づけることならもっと近くにいたい。
けれどそんなことをしてしまえば、自分の行いによって傷つく人が出てきてしまう。
そのことを彼女は分かっているのでしょう。
近づいてしまえば「あなた」も自分も傷ついてしまうかもしれない。
そのことに対しての葛藤があるのかもしれません。
捨てきれぬ想い
叶わぬ夢はここに置いて行きたい
思い出せるくらい遠くから愛している
出典: 月と水鏡/作詞:秋元康 作曲:石井健太郎
大切な人に触れられず、ただ見ているだけの自分。
本当は触れられるくらい近くで、その人と一緒に居られたらと思っているのでしょう。
しかし、それは叶わないことだと彼女は分かっています。
だからこそ、そんな夢を願うことを捨て去るために、ただ遠くから眺めるだけで十分だ。
そうやって自分を納得させようとしているのでしょう。
「あなた」への想いは捨てきれない。
けれども、叶わない夢を胸に抱き続けるのは辛いのでしょう。
その2つの間で板ばさみとなった気持ちを解消するために、夢を諦めることに決めた。
ただ遠くから見ているだけで幸せだと自分の気持ちを落ち着けたのです。
この主人公の姿勢には、無償の愛という言葉が1番似合うかもしれません。
崩れた月
自分のせい
凜としていた 綺麗な月が
壊れてしまって 悲しくなる
私が両手 伸ばさなければ
今でも そばにいられた
出典: 月と水鏡/作詞:秋元康 作曲:石井健太郎
この月は、冒頭ですくい上げようとした水面の月のことを指しているのでしょう。
主人公が水面に手を入れたことで、反射していた像が崩れ月の形を失ってしまった。
そのことが、大切な人への想いとリンクしているように感じる表現です。
反射した月が壊れてしまったのは、主人公が水面を波立たせたせい。
もし、そんなことをしなければ月は綺麗なまま浮かんでいたと思っているのでしょう。
理想の自分
優しい人は 眺めるだけで
その想い 語ることなく
せせらぎに 耳を傾けて
儚い恋の形を浮かべている
出典: 月と水鏡/作詞:秋元康 作曲:石井健太郎
ここでは、主人公にとっての理想の人物像を語っているのでしょうか。
大切な人への想いを言葉にすることで誰かを傷つけてしまうことなく、ただ彼を見守っている人。
川の穏やかに流れる音を聞きながら、穏やかな気持ちで大切な人への気持ちを確かめているのでしょう。
叶わない恋を心に抱えながら、そのことを口には出さずじっと自分の想いを噛み締めている。
そんな人物像がこの歌詞パートから感じられます。
月と恋
飲み込んだ言葉
あなたに会いたいよ
言えない言葉は
落ちる涙に変わるのでしょう
出典: 月と水鏡/作詞:秋元康 作曲:石井健太郎
ここでもまた、主人公の「あなた」に対しての気持ちが吐露されています。
抱えたままになってしまっている言葉。
それは「あなた」に対しての言葉であることは間違いないでしょう。
いつまでも言えずに、行き先が無くなってしまった言葉は自分の気持ちを膨らませていきます。
それが限界に達した時、涙となって表面化するのです。
募る想いを消化したいと思いながらも、どこかで引っかかりを覚えているのでしょう。