波紋はやがて
消えて穏やかになる
思い出したように
変わらない月を見てる
出典: 月と水鏡/作詞:秋元康 作曲:石井健太郎
主人公の目から落ちた涙が、波紋となって川の水面を揺らしています。
それはまるで、彼女の心の揺れのようです。
切なさによって心が震え、その震えが涙となって水面を揺らす。
涙がいつか収まるように、水面の揺れも段々と収まっていきます。
そして平常心を取り戻した彼女は、凪いだ水面に像を取り戻した月を眺めているのでしょう。
手に入らないその月を見て、自分の叶わない恋を重ね合わせているのかもしれません。
その輝きに惹かれながらも、自分の手には絶対に入らない。
手が届かないほど遠くにあるその恋は、まるで月のようです。
恋の代償
それでも会いたい
あなたに会えるなら
すべてを失い
二度と月など見えなくていい
出典: 月と水鏡/作詞:秋元康 作曲:石井健太郎
楽曲も終盤に差し掛かり、主人公の言葉にも変化が生じています。
今までは、ただ大切な人を見守っているだけで良いと言っていた彼女。
しかし、ここでは大切な人と引き換えに、全てを失っても良いといっています。
水面の月のように、手を伸ばしても手に入らないと考えていたその恋を進展させたいという気持ちが表れています。
全てを代償にしても、大切な人と会いたい。
そこには彼女のこれまでの葛藤を経て生まれた切実さが滲み出ています。
動き出す時間
流れる時間に
この身投げ出そうとも
思い出せるくらい
いつまでも愛している
出典: 月と水鏡/作詞:秋元康 作曲:石井健太郎
「あなた」をただ遠くから眺め続けていた主人公。
何も進展させられず止まっていた時間が動き出そうとしています。
今まで長い期間悩んでいたけれど、自分を納得させようとしていました。
しかし、その思いは募り、涙を流すだけではもう収まらなくなってしまったのでしょう。
自分の身を投げ出すように、彼の元へと走り出している光景が目に浮かびます。
その気持ちが永遠であると気づいた彼女は、周りの人たちが傷つこうと想いを伝えようと思ったのでしょう。
長い葛藤の末、彼女は代償を払ってでも彼の元へ行くことを選びました。
その恋が実るかは分かりません。
それでも彼女は、止まっていた時間を進めることを選びました。
それは、自分が前へと進む為でもあるのでしょう。
「月と水鏡」で描かれていたのは、大切な恋と真摯に向き合う女性の姿でした。
まとめ
今回はAKB48の横山由依さんによるソロ曲「月と水鏡」をご紹介しました。
月というモチーフを巧みに使いながら、手に入らない恋との切ない距離を歌った楽曲。
その歌詞の世界観は、女性のリアルな心情を表していると感じました。
アイドル曲に留めておくのは勿体無い、詞の世界観が確立されている楽曲でした。
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最後まで読んでいただき、ありがとうございました。
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