米津玄師「かいじゅうのマーチ」
「BOOTLEG」収録曲
「かいじゅうのマーチ」は米津玄師さんの4thアルバム「BOOTLEG」に収録されています。
”かいじゅう”という言葉には悪役だったり、恐怖だったり、ネガティブなイメージを抱いてしまいますが、幼さも兼ね備えています。
曲調はかいじゅう要素を全く感じない、穏やかなものになっています。「BOOTLEG」の中ではある意味、異彩を放っている楽曲の1つといえるでしょう。
「今日の日はさようなら」へのオマージュ
「かいじゅうのマーチ」は、1966年に森山良子さんがリリースした「今日の日はさようなら」へのオマージュとなっています。
童謡として子供達に歌われることが多く、非常に有名な楽曲ですよね。
とても懐かしく感じます。小学生の頃のキャンプファイヤーや、挿入歌として使われた「エヴァンゲリオン」の記憶が蘇ってきます。
いつまでも 絶えることなく
友だちでいよう
明日の日を夢見て
希望の道を
空を飛ぶ 鳥のように
自由に生きる
今日の日はさようなら
また会う日まで
信じあう よろこびを
大切にしよう
今日の日はさようなら
また会う日まで
また会う日まで
出典: 今日の日はさようなら/作詞:金子詔一 作曲:金子詔一
とても懐かしい曲ですよね。合唱で歌われているのはよく聴いていましたが、森山良子さんの曲だとは知りませんでした。
「今日の日はさようなら」は筆者にとって、人生の節目にあるエンディング曲のような位置付けです。
平和や日本らしさが感じられる1曲だと思います。米津玄師さんも面白い曲に目を付けたなと思いました。
歌詞解説
主人公は”かいじゅう”
少しでもあなたに伝えたくて
言葉を覚えたんだ
喜んでくれるのかな そうだと嬉しいな
出典: かいじゅうのマーチ/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
米津玄師さんの歌詞は、難しい言葉が使われている印象がありましたが、この曲はとても易しい言葉が使われています。
NHK教育の「みんなのうた」で流れていそうな気がします。
「かいじゅうのマーチ」というタイトルですが、かいじゅうという言葉は歌詞に出てきません。
本来言葉は覚えようと思って覚えるものではありません。ですが、”あなたに伝えたい”という意思を持っていたとすれば、この曲の主人公がかいじゅうなのかもしれません。
遠くからあなたに出会うため
生まれてきたんだぜ
道草もせず 一本の道を踏みしめて
出典: かいじゅうのマーチ/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
歌の主人公がかいじゅうだったとしても、全く襲う気は無いようですね。かいじゅうだからと勝手に偏見を持っていました。
使命をもって生まれたきたことに対して、強い愛が感じられますね。
怖がらないで 僕と歌って
そのまま超えて 海の向こうへ
おかしな声で 愛と歌って
心は晴れやか
出典: かいじゅうのマーチ/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
"怖がらないで 僕と歌って"という歌詞から、主人公がかいじゅうだったことが再確認できました。
ジェンダーレスな時代にこの歌はとても合っていると思います。
見た目、性別、年齢などの括りはあるかもしれませんが、それに捉われる必要は無いでしょう。
歌という1つの架け橋があれば2人は繋がることが出来るのです。
さあ出かけよう 砂漠を抜けて
悲しいこともあるだろうけど
虹の根元を探しにいこう
あなたと迎えたい明日のために
涙を隠しては
出典: かいじゅうのマーチ/作詞:米津玄師 作曲:米津玄師
「BOOTLEG」では”砂漠”が1つのテーマとなっていました。「かいじゅうのマーチ」のサビにも”砂漠”というフレーズが出てきます。
米津玄師さんは砂漠に対して、何も無い開放感と、何も無くなった残酷さの両方を思い浮かべるそうですが、この曲では解放的なイメージが浮かんできます。
砂漠の中で日が落ちていくのが想像出来ます。