初めて尽くしのタイトル
ジャパニーズレゲエ界を長年けん引し、熱いメッセージを届けてくれる湘南乃風。
今回ご紹介するのは【いつも誰かのせいにしてばっかりだった俺】。
湘南乃風の3rdオリジナルアルバム「湘南乃風〜Riders High〜」から先行リリースされたリード曲です。
湘南乃風が初めて配信シングルとして発表した楽曲でもあります。
【いつも誰かのせいにしてばっかりだった俺】は2006年に行われた湘南乃風のツアータイトルにも掲げられました。
こちらも湘南乃風初の映像作品になっていて、湘南乃風初期の思い出深いタイトルのひとつになっています。
【いつも誰かのせいにしてばっかりだった俺】の歌詞
誰かのために
もしも悲しくて 涙に溺れそうなら
いつでも歌うよ 君の為…
出典: いつも誰かのせいにしてばっかりだった俺/作詞:湘南乃風 作曲:湘南乃風
楽曲の冒頭にあるのは【いつも誰かのせいにしてばっかりだった俺】とは真逆とも思えるフレーズ。
誰かのために歌いたいという歌詞からはじまります。
沈んでしまうほどの悲しみから助け出そうという優しさと頼もしさが込められた男気溢れる思い。
いつも誰かのせいにしている人間の口からは到底聞けそうもない言葉です。
こんな風に思えるようになるまで、主人公にどんな気持ちの変化があったのでしょうか。
歌詞の内容をみていきましょう。
みっともない自分
「またあいつのせい」
でも偽善に思える事ばっか 不自然な笑顔と言葉は
自分の為だろ お前の為って言ってる奴 もうどうでもいい
散らかった部屋漁る灰皿 「ちくしょう」シケモクもなくなった
むかつき貧乏揺すり 得意の口癖「またあいつのせいで」
出典: いつも誰かのせいにしてばっかりだった俺/作詞:湘南乃風 作曲:湘南乃風
歌詞に登場するのはひねた態度の主人公。
誰かの行為も素直に受け取ることができず、親切さえも偽善ぶった余計なお世話にしか感じません。
「お前のためなんだから。」
そんな言葉すら彼には届かないのです。
人間はいつも自分が一番で、誰かのためといってやっていることも結局は自分がよく思われたいだけ。
心配する素振りを見せていい人を演じているのだろうとすら感じてしまいます。
そんな友達面する奴らなんてどうでもいいのです。
できることなら放っておいてほしいという主人公の気持ちが覗えます。
散らかった部屋は主人公の荒れた心の内を表しているようです。
部屋を片付ける気力どころか、新しい煙草を買いにいく気力もありません。
ついにシケモクも尽きてイライラがピークに達したところで彼定番の文句。
「うまくいかないのはあいつのせい。俺は悪くない。」
いつも投げ捨てるように言い放つ言葉です。
本当の気持ち
しっかりしろ!俺
みっともないぜ 俺いい加減(おい!鏡を見ろ)
世界一不幸なヒーロー気取りの ただの被害妄想
自信無い自分への言い訳(もう終わりにしろ)
途方に暮れ バイク飛ばして叫ぶ どうすれば変われるんだ
出典: いつも誰かのせいにしてばっかりだった俺/作詞:湘南乃風 作曲:湘南乃風
不平不満を並べているだけではどうにもなりません。
そんなことは主人公にもわかっています。
鏡に向かって自分自身に問いかけてみてもどうすればいいのか答えは見つかりません。
いつからこうなってしまったのか、その理由すらわからないのです。
モヤモヤした気分は晴れることなく、いてもたってもいられずに家から飛び出す主人公。
なにもかもうまくいかず疑心暗鬼は止まりません。
「なんで俺ばっかりがこんな目に合わなきゃいけないんだ。」
周りはみんな能天気で悩みもなく、幸せそうに感じます。
まるで自分だけが世間からポツンと取り残されてしまったような感覚でしょう。
自分だってこんな鬱屈した思いを抱えて生きていたくない。
これ以上このままだとどんどん自分が惨めになっていくだけ。
でもどうすればいい...?
風を切って走りながら、あてもなく答えを探し回ります。
なりたい自分
ありのままで あるがままで
生けて行けたら どんなに幸せな事だろう
嘘ついて 強いふりして逃げていたら
塩っぱい涙も出なくなるだろう
器をでかく広げ みんなを包んでやれ
痛いのを痒いと言え 熱く我慢出来る人になれ
自分の為に生きてみんだ 心の叫びのまんま
人の為に枠におさまるな 今 立ち上がるんだ
出典: いつも誰かのせいにしてばっかりだった俺/作詞:湘南乃風 作曲:湘南乃風
本当は自分の思った通りに生きていきたい。
体裁を気にしてつかなくてもいい嘘にまみれ、強がるなんてもうこりごり。
心の叫びそのものを表すように歌い上げられる部分です。
自分の本心に向き合わず毎日を過ごしていくうちになにも感じなくなってしまうかもしれません。
自分の人生くらい、自分のために生きたい。
くだらないプライドや先入観もぜんぶ捨てて正直に人生を全うできれば、いまよりもっと強くなれるはずなのです。
そして自分のためだけでなく、大切な人のためにも力が使えるはず。
熱い思いを胸に秘めてはいても現状から抜け出すことはできません。
自分のことすらままならない主人公、なりたい自分はまだ心の中に閉じ込められたままです。