8曲目は、【赤い目の空】。

編曲家・野村陽一郎さんの協力を得て、 1990年代に流行したオルタナティヴ・ロックの要素を取り入れました。

独特のメロディーラインが郷愁を誘います。

赤い目の奥には
弱い自分の影が
燃え尽きて揺れる
ねえどうしたいの?

出典: 赤い目の空/作詞:片平里菜 作曲:片平里菜,野村陽一郎

歌詞は、片平里菜さんの体験が題材です。

破れた夢を踏みつけられる落ち葉に、泣き明かした日々を夕焼けに重ね合わせています。

夢中で恋をしていた夏が過ぎ去り、気付けば秋になっていた…。

その時にふと感じる物悲しさが伝わってきます。

旅立ちの時期の空気感

自然とポジティブに

9曲目は、【bloom in the city(album mix)】。

7曲目の【JUMP】と同様、CMタイアップ曲となっています。

こちらの楽曲制作を進めていた時期、片平里菜さんの同期にあたるアーティストが夢を諦めていました。

彼女は人それぞれの生き方があるのだと思いながらも、やるせない気持ちを抱いていたようです。

「私は東京という街で一花咲かせてやる」と改めて決意し、曲に思いを込めています。

かつて東京を「からっぽな街」と表現していた彼女。

しかし、活動を続ける中、東京で夢を見つけ、意識が変わったのです。

曲中、過酷な環境に立ち向かう人々に東京で力強く生きる草花を投影し、「気高い」「麗しい」と表現しています。

ポジティブな詞と曲調が相まって、春の匂いを感じさせてくれるでしょう。

出会いと別れを経て

10曲目は、【オレンジ】。

福島や熊本など被災地への訪問がきっかけで誕生しました。

片平里菜さんは、震災の影響を受けながらも懸命に生きる人々と交流する中、温かい言葉が心に刻まれていきました。

人と人との結びつきに感銘を受け、【オレンジ】を作曲・作詞したのです。

感謝の言葉が繰り返され、心をホッコリさせてくれます。

ありがとうありがとう
本気にありがとう
君がいてくれて
悲しい出来事はなにひとつなければよかったけれど
今こうやって笑えること出会えてよかったよ

出典: オレンジ/作詞:片平里菜 作曲:片平里菜,渡辺拓也

悲しみを感じた後には素敵な出会いがある。この瞬間の出会いを大事にしたい。

曲中に出てくるフレーズから、どれほど一期一会が貴重であるかを実感できます。

 卒業・進学シーズンにピッタリの1曲です。

青空を見せてくれる

春の気配が

11曲目は、【晴天の兆し】。

赤い蕾膨らみ
朝霜の中祈る手のように
眩しい日差しの下
走り出した
溶けていく
辛い胸の奥
新しい兆しを見た

出典: 晴天の兆し/作詞:片平里菜,トオミヨウ 作曲:片平里菜,トオミヨウ

「蕾」や「霜」などの季語が歌詞に用いられ、うららかな初春の雰囲気を漂わせています。

初春、成長・変化するのは植物だけではありません。

人生の転換期を迎えた人々は、新たなスタート地点に立ち、試行錯誤します。

【晴天の兆し】では、雪解け後の植物の姿を一歩踏み出そうとしている人々の様相に例えているのです。

人間が何かしらの行動変容を起こした時、歌詞の「新しい~」となる希望の光を見出せるのではないでしょうか。

いつか春が訪れると信じている植物のように、しっかり前を見て進もう。

晴れやかな気分にしてくれる楽曲です。

荒れ模様を穏やかに