究極の友情ソング!
映画『君の名は。』の音楽を担当し、一躍有名となったRADWIMPS。
一時はテレビやラジオで名前を聞かない日はないほどでした。
それまでテレビ出演はしないスタンスで活動していたので、お茶の間での知名度はまだ高くありませんでした。
しかしこの映画をきっかけに、 RADWIMPSの名前を知った方も多いのではないでしょうか?
ロック好きからは十年以上前から愛されている彼らの魅力は、何と言っても歌詞の奥深さです!
燃え上がるような恋愛をテーマにしたものや、社会派な重たいものまで、驚くほど広い世界観を有しています。
今回はその中でも「友情」をテーマにした『リユニオン』の世界を紹介します!
リユニオンとは?
リユニオン(reunion)にはこのような意味があります。
- 再会
- 同窓会
- 再結合
一度離別してからもう一度再び集まる、という意味なのですね。
「出会った日からずっと友達」みたいな友情ソングは多いです。
しかしこの歌のタイトルは違うようです。
離ればなれになってもいいじゃん。また会えるのが友達だろ?
もしかして、そんな意味合いが込められているのでしょうか?
英語をタイトルに使うことで、複数の意味を楽曲に込める狙いもあったのではないでしょうか。
「再会」などと日本語でタイトルを付けるとイメージがなんとなく固定化されてしまいます。
そのため「リユニオン」と名付けることで、そこに解釈の余地を生んだのでしょう。
楽曲に様々な意味を持たせることで、多層的な魅力が生まれます。
長いキャリアを誇るRADWIMPSだからこそできる技だといえるでしょう。
×と○と罪と
この曲は2013年12月11にリリースされた7thアルバム『×と○と罪と』に収録されています。
前作『絶体絶命』がリリースされたのが2011年3月9日でした。
実に2年9ヶ月ぶりで、当時としてはこれまでのリリースペースより最も遅かったです。
満を辞してリリースされた『×と○と罪と』。
タイトルにも彼ららしさが表れていますが、中身も決して妥協せず新たな音楽を追求していく彼ららしい作品となっているのです。
今回ご紹介する「リユニオン」はこのアルバムの4曲目に収録されています。
ソロ活動から得たもの
先に『×と○と罪と』は最も遅いペースのリリースであることを紹介しました。
実はその間、ボーカルの野田洋次郎はソロプロジェクトの「illion」を始動させました。
始めるきっかけはもちろん2011年に起こった東日本大震災です。
そしてバンドではなく、個人としての夢である海外進出を果たすためにも始めたものです。
そのためライブ活動もイギリス・ロンドンや、ドイツ・ハンブルクで行われました。
日本での初公演は2016年のFUJI ROCK FESTIVALでしたから、驚きですね!
野田洋次郎がソロとして活動したことで、RADWIMPSにも何かしら変化があったことは想像に難くないでしょう。
彼にとっての夢であった海外進出の後、ソロで得たものを古巣であるRADWIMPSでどのように表現したのか。
それが現れているのが、『×と○と罪と』だといっても過言ではないでしょう。
RADWIMPSの活動にも必要なもの
野田洋次郎曰く、 RADWIMPSの活動は「起きている時間」なのだそうです。
一方のillionは「寝ている時間」と喩えています。
バンド活動とソロ活動はまったく別のところにありながら、表裏一体と捉えているのかもしれませんね。
実際に作風も、 RADWIMPSとは大きく異なるのです。
RADWIMPSでの歌詞は含蓄ある言葉が並びます。
しかしillionではもっともっとシンプルな表現が目立ちます。

ストレートな歌詞
同じ酸素を吸ってるのに もう同じ息は吐けない
枯れるまでが花なのなら 最後まで ちゃんと燃やすよ
声で交わすよりも手を握る方が わかることがあるよ
だから僕らは その手を離すの お喋りが好きなの
出典: BANKA/作詞:illion 作曲:illion
人間のうちに秘められた二面性や、相反する様子が描写されています。
野田洋次郎が得意とするアイロニックさが覗く歌詞ですが、それでもストレートな表現ですね。
初見でも分かりやすい表現ながら、聴き込むほど新たな発見があるのが RADWIMPSの魅力です。
しかしillionでは、その分かりやすい部分がより強調されている気がしませんか?
ここには野田洋次郎にとっての、ソロとRADWIMPSでの明確な差別化が為されているように感じられます。
歌詞は分かりやすいものとなっていますが、サウンドはRADWIMPSよりも内省的な印象。
ここでは歌詞とサウンドで対比し、バランスが取られていると考えることができるのではないでしょうか。
音楽的に大衆に分かりにくくなったため、歌詞をストレートにしている。
そう考えれば、納得ができます。