サビのハーモニーが胸をグッと押しつぶす切ない失恋ソング『東京』。
失恋ソングではあるものの、歌詞の中には前向きな要素も散りばめられています。
人を好きになる、という形のない現象をぼんやりと形にしてくれようとしている。
こんなふうに感じる一曲です。
何となく気づいていたことを言葉にする峯田和伸の力
出会えた喜びはいつも一瞬なのに
どうして別れの悲しみは永遠なの
出典: 東京/作詞:峯田和伸 作曲:峯田和伸
最後には楽しかった思い出だけが残る、という言葉はよく耳にします。
しかしそこにモヤモヤとした疑問を抱いていた方もいるのではないでしょうか。
この歌詞を聴いて「それだ!」とモヤモヤが一気に晴れたはずです。
悲しい思い出は決して美化されること無く、今目の前に取り出して見せられるぐらい鮮明に残っています。
おそらく峯田和伸は悲しい思いをしている自分に酔うことなく、現実としっかり向き合える人なのでしょう。
だからこそ、普通なら気づかない小さな想いや黒さにも気づいてしまうのです。
3位:あいどんわなだい
打ち込み音でどこかダンサブルにも聴こえる『あいどんわなだい』。
ポップでノリがよく、ライブでの盛り上がりが容易に想像できるキラーチューンです。
もちろんオーディエンスとして覚えておきたいフレーズが盛りだくさん!
やりたいことをやり終えるまで死ねない
I don't wanna die
I don't wanna die
愛はどうなんだい?
純情可憐な君と杏仁豆腐食べたい
純情可憐な君とweezer聴きたい
出典: あいどんわなだい/作詞:峯田和伸 作曲:峯田和伸
「君」との願望と並ぶ「死にたくない」という言葉。
まだまだ一緒にやりたいことが沢山あるのでしょう。
日を追うごとにどんどん好きになっていき、やりたいことも増え、死ぬわけには生きません。
何がしたいかといえば特にメルヘンチックなことを歌わず、食べ物と実在のバンド名、その他……。
必要以上にカッコよく見せようとしない、むしろありのままを歌う峯田和伸の良さが滲み出ています。
2位:漂流教室
ラブソングや若者の衝動を歌った楽曲が多くを占める銀杏BOYZ。
その中では異色といえるのが『漂流教室』です。
曲の冒頭のひと言でお分かりでしょう。
死んでしまった友人と「君」と「僕」の三人を描いています。
時を止めた「あいつ」の死
告別式では泣かなかったんだ
外に出たらもう雨はあがってたんだ
あいつは虹の始まりと終わりを
きっと一人で探しにいったのさ
出典: 漂流教室/作詞:峯田和伸 作曲:峯田和伸
きっと「あいつ」も悲しむのをやめて新しいスタートを切ったのでしょう。
だから空は晴れていて、すぐに辿り着けそうなぐらい大きな虹がかかっていたのだと読み取れます。
このまま僕等は大人になれないまま
しがみついて忘れないんだ
君の涙をいつか笑顔に変えてくれ
光る星に約束してくれ
はやく はやく こっちにおいでよ
君と僕は一生の友達なのさ
出典: 漂流教室/作詞:峯田和伸 作曲:峯田和伸
時を止め、「君」の笑顔を曇らせてしまった友人の死。
慰めが意味を成さないのであれば、解決策はひとつしかありません。
たったひとつの方法、それは虹に向かった「あいつ」が手を振って戻ってくることです。
最後の「君」はきっと大切な友達二人を指しているのでしょう。