「消えて行くなら」……?
今回「ring your bell」は、明るいHikaruの中音とWakanaの高音が主軸。Keikoは低音でコーラスを支えています。
さて出だしから不穏。
心が消える、なんてよほどのことです。一体なにが起こっているのでしょう?
そしてKalafina(もとい梶浦由記)楽曲の特徴「相反する2つの意味の言葉が同居する歌詞」です。
幸福と絶望。まるで別のベクトルの言葉。
しかし曲をよく聞くと、歌声からは「絶望」という単語からも希望を感じてしまいます。
夢=現実ではないもの?
意味深な歌詞は続きます。
「夢」というのは、ご存知の通り2種類の意味を持ちます。
眠っているあいだに見る非現実としての夢、そして「将来の夢」など、未来へ託したビジョンとしての夢です。
いずれも、現実ではない、あるいは現実にかなっていないことは同じ。
夢=非現実の中を駆け抜けているとしたら、なんてはかないことでしょう。
終盤の歌詞もさらに不穏!
君へと続いてた道の
君から続いて行く道の
眩しさはきっと消えないから
君が泣いた夜の向こうには
まだ何も無い
始まりが広がる
風に乗り消えるだろう
明日を呼ぶ君の調べ
遠い地平へ
木霊を残して
ring your bell, and raise your song
出典: ring your bell/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記
目がくらむあまり、見えない世界……?
さて、少し飛ばして曲の後半へ。
1番のサビの部分につづき、「眩しい」という単語がまたここでも出てきます。
明るさや光をイメージさせる言葉。一見「希望」に属する単語のように見えます。
しかし「目のくらむ眩しさ」とも使いますが、その光のせいでかえって先が見えないようにも感じられます。
そして注目すべきは「きっと」という一言。
眩しさは消えない、そう断言すればいいのに、どうして「きっと」などと言うのでしょう?
本当に、眩しさの先になにかが待っているのでしょうか?眩しさは、消えずに残るのでしょうか。
なにもない始まりへ
「風に乗り消える」のは、「明日を呼ぶ君の調べ」です。
どんなに呼んだとしても、それは風にかき消えて、明日は来ないかもしれない。
また「木霊(こだま)」とは、山などで大声で叫んだときに時間をおいて声が返ってくる現象のこと。
ですが、この「木霊」が「明日を呼ぶ調べ」のことだとしたら……。
この歌は、実は非常にむなしい気持ちを歌ったものだったのかもしれません。
どんなに明日を叫んだとしても、返ってくるのははかない木霊ばかり。
生きていたのは非現実の夢の中だけ、見えない明日。
それでもだれかは叫ぶのでしょう、「ring your bell」――鐘を鳴らして、と。その鐘は、どこへ響くのでしょうか。
曲調にだまされた!なんて不穏な歌詞だったんだ!
明るい曲調にだまされて(?)聞いてしまいますが、こう見ると最初から最後まで不可思議な歌詞でしたね。
さすがKalafina、さすが梶浦由記。一癖も二癖もある、だからこそ見事な作品になっています。
どんどん力を増し、独自の世界観を創り上げていくKalafina。今後の活躍にも期待ですね!
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