東京を目指すと物語が生まれる?
地方から東京を目指す若者たち
「KIRA★KIRA★TRAIN」では、別れを迎えるふたりそれぞれの想いが交互に描かれています。
最初に登場するのは夢を追って故郷の街を旅立とうとする彼です。
3年も付き合った大好きな彼女と別れて東京へ行くのは辛いものですね。
だけど自分の夢は叶えたい。夢を叶えるには、東京でなければならない。
地方出身で東京で暮らしたことのある方にはお分かりだと思います。
東京はとにかくスケールが違うし何といっても文化の中心地なのです。
夢と引き換えにするものは?
音楽関係やマスコミ関係の会社は東京に集中しているし、開催されるライブの数も桁違い。
アーティストや芸能人のほとんどは東京在住。
大きな書店に映画館に美術館なども地方とは比べ物にならないくらいたくさんあります。
ファッションや文化など、とにかく新しいものや面白いものに触れるには最高の場所です。
その東京を目指して故郷を離れる若者たちはたくさんいて、何かと引き換えに何かを得るという訳です。
その引き替えにする何かはのんびりした生活かもしれません。
そしてときには大切な人だったりするので、そこにいろいろなドラマや物語が生まれるのです。
この歌の主人公の彼は小さなカバンひとつで旅立とうとしています。
ミュージシャンになりたいのかどうかは分かりません。
歌のイメージからするとそうであって欲しいところです。
彼女の瞳にキラキラ光るものとは・・・
故郷を後にする彼の想い
突然の雪は君を無口にさせた 三回目の冬が今終わる
TOKYOの空に 走り書きした夢を追いかけて 僕は汽車に乗る
誰もいない静かなホーム 不意に君が手を握り返した
「元気でね…」つぶやいた声に 黙ってうなづいたよ
出典: KIRA★KIRA★TRAIN/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹
彼が東京に見た夢とは、彼女を故郷に残してでも実現したいものだったのでしょうか。
だけど彼はスッパリと彼女のことを忘れて自分の夢へ向けて突っ走ろうとしているわけではありません。
見送りに来てくれた彼女が急に無口になったり、やっぱり離れたくないのか自分の手を握り返したり。
大好きな彼女の仕草や言葉のひとつひとつが切なく胸に刺さるのです。
繰り返し手を振る君が だんだん小さくなっていく
大好きなその瞳に見えたよ きらきら きらきら
出典: KIRA★KIRA★TRAIN/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹
それでも故郷を離れて旅立つ決心をした彼は、自分を奮い立たせる思いで最終列車に乗り込みます。
動き出した列車から見る彼女の描写が、男性から見ればこの曲一番の泣かせどころです。
駅のホームで見送る彼女の瞳にきらきらと光るもの。これはやはり涙なんでしょうね。
彼から見たきらきら光るものは、彼女の悲しい想いが溢れる美しい涙であってほしいのでしょう。
ふたりの想いは少し違っていた?
彼を見送る彼女の想い
旅立つあなた わかってたはずなのに この胸が少しだけ痛む
出典: KIRA★KIRA★TRAIN/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹
続いて歌の後半では彼を見送る彼女の想いが描かれています。
大好きな彼が夢を叶えるために自分と別れて東京へ行きたいなんて言い出した…。
彼女にとってこんなに悲しいことはありません。
私よりも自分の夢が大切なの?と思うのが当然でしょう。
だけど彼女は故郷で彼の成功を祈ることにしたのでしょうか。
旅立つ彼を応援するのは自分にしかできないからと別れを決心したはずです。
でもいざその時が来てみると…という揺れる気持ちが短い歌詞に表れていますね。
ふたりの手 照らしてた蛍光灯の明かりが消えた
「もう行くね…」つぶやいたままで そっと笑ってくれた
出典: KIRA★KIRA★TRAIN/作詞:水野良樹 作曲:水野良樹
見送りに行った駅のホームで、彼は小さく別れの言葉をつぶやきます。
そんな優しい彼だからこそ、彼女の悲しみはより深くなってしまうのでしょうね。
ふたりの言葉はどちらもささやくように口からこぼれます。
本当の気持ちを偽るように明るく振る舞うことはありません。