自由な生き方の応援歌
ASIAN KUNG-FU GENERATION略してアジカンのアルバム「ホームタウン」は2018年12月リリース。
表題曲のシングル「ホームタウン」や映画主題歌「荒野を歩け」が収録されているアルバムです。
さらに作詞作曲を別に招いた「クロックワーク」や「ダンシングガール」も注目を集めています。
作詞作曲を担当したひとりはアメリカのエモポップバンド「ウィーザー」のリヴァース・クオモ。
もうひとりはアヴリル・ラヴィーンなどのプロデュースでも知られるブッチ・ウォーカーです。
アルバム「ホームタウン」全10曲のうち、「レインボーフラッグ」はスルメ曲かもしれません。
最初は話題曲を意識しがちですが、何度も繰り返し聴くうちに味が出る、という意味で……。
そんな「レインボーフラッグ」は株式会社コエの新人映像作家が監督するMVが話題です。
「レインボーフラッグ」MV
コエは2017年に映像作家の関和亮さんらによって設立されたクリエイティブカンパニーです。
関和亮さん自身はサカナクション「アルクアラウンド」や星野源さん「恋」などのMVで監督。
たくさんの実績があります。
さらにコエにはグラフィックデザイナーのユキマユコさんや映像作家の山岸聖太さんらも所属。
アジカン「ホームタウン」や星野源さん「アイデア」などのMVを手掛けています。
そのコエの採用オーディションに残った新人映像作家が、MV監督を務める企画が開催されました。
その第1弾がアジカンの「UCLA」。さらに「レインボーフラッグ」「モータープール」と続きます。
3曲ともアルバム「ホームタウン」の収録曲。「レインボーフラッグ」MVは久間木達朗監督作です。
新人映像作家によるMVということで、大縄跳びに挑戦する人々が描かれるという斬新な内容。
様々な人がいる、上手に跳べたり引っかかったりする……この辺りがポイントになるでしょう。
タイトルの意味は?
「レインボーフラッグ」というタイトルにはどんな意味があるの?と気になるところでしょう。
直訳すると「虹の旗」。つまり虹色の旗を表していることがわかります。普通にキレイですね。
ただし旗を掲げるという行為には様々な意味が含まれます。しかも虹色となると実は特別。
虹色が象徴しているのは多様性。とくに様々な人がいることを表していると考えられます。
なかでも1960年代には戦争に反対する「平和の旗」としてレインボーフラッグが掲げられました。
さらに1970年代からは「LGBTの尊厳を象徴する旗」としても用いられるようになっています。
LGBTの歌
アジカンの「レインボーフラッグ」はまずLGBTの歌。そして幅広い意味で自由な生き方の応援歌。
ボーカル&ギター後藤正文さんことゴッチ(Gotch)さんがそう明言されています。
ウーマンラッシュアワーの村本大輔さんが漫才で取り上げたことでも注目を集めたLGBT。
確かに自分のことを説明する時、わざわざカミングアウトという言葉を使う必要はないはずです。
しかしLGBTの方たちはカミングアウトするかどうかでものすごく葛藤しているという現実。
こうしたLGBTの方たちの苦悩はもちろん、その他の問題でも様々な悩みは生まれるものです。
アジカンのゴッチさんはそれでも前向きに生きよう!とエールを送っていると考えられます。
そんなアジカンの「レインボーフラッグ」を具体的に見ていきましょう。
歌詞を解釈!
なぜリンドウ?
野道に咲き誇る リンドウ
山肌の後先に待ち受けるヴァイオレント
花びらの上に朝露が煌めく日も
雨の冷たさで動けない朝でも
出典: レインボーフラッグ/作詞:Masafumi Gotoh 作曲:Masafumi Gotoh
歌詞の冒頭に登場する印象的なキーワードが「リンドウ」です。野山に咲く紫色の花。
実はこのリンドウの花が既にLGBTの方たちを表しています。なぜなら紫色だからです。
紫は赤と青を混ぜた色。一般的に赤は女性、青は男性をイメージすることができるでしょう。
その2色を混ぜた紫というわけです。さらにリンドウの花言葉がこちら。
群生せず、一本ずつ咲く姿から花言葉は「悲しんでいるあなたを愛する」といわれている。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/リンドウ
この美しい花言葉から応援歌になっていることがわかります。
続いて登場する「ヴァイオレント」とは暴力のこと。そこには言葉の暴力も含まれるでしょう。
ゴッチさんによるとLGBTの歌であり、幅広い意味も兼ね備えているということですので……。
何らかの出来事で悲しんでいるすべての人をリンドウにたとえていると解釈できます。
元気いっぱいに輝く日もあれば、涙に暮れてもう動けない……と落ち込む朝もあるでしょう。
風景描写になっていますが、暗喩として悩める人々の日常が描かれていると考えられます。