【Mr.Children/Another Story】歌詞解釈！笑顔に隠された”君”の本当の想いとは

彼が乗ったバスは、最終バスだったようです。

引き返すことのない最終バスは、彼女の街にたどり着きました。

自分の元に取り戻すため、彼は彼女に会いに行きました。

目の前に現れた彼女に、声をかけます。

許されないことばかりを積み重ねてきた彼は、声をかけることにさえ勇気が必要です。

なぜなら、彼女にこっ酷く拒絶される可能性もあるからです。

勇気を出して彼女の名前を呼んだ彼。

目の前に見えたのは、彼女の笑みでした。

今まで何度も、無理に笑顔を繕ってきた彼女ですが、彼が「無理しないで」と言っても笑っていました。

この笑顔は、本物なのでしょうか。

ギターを弾きながら上の空だった彼は、将来の夢について考えていたようですね。

彼の主張は全て、将来の夢に紐付くものだったのかもしれません。

彼女にとって、夢は簡単に叶わないものであり、自分の存在よりも夢を優先する彼に思うところがあったのでしょう。

しかし、彼の夢を否定することはできません。

彼が夢を追い求める姿を批判して、「私を優先して欲しい」という権利もありません。

だから彼女はただ笑っていることしかできなかったのではないでしょうか。

彼女との間に亀裂が入った今、それでも彼は夢を諦めるつもりはありません。

その熱意を彼女に理解してもらうことがどんなに難しいか、分かっています。

彼にとって、彼女との関係を修復するために必要な言葉は「ごめんね」なのでしょう。

今まであまりにも多く使いすぎてしまい、効力を失っている言葉です。

「君をほったらかしにしてごめんね」「夢を諦められなくてごめんね」

「ごめんね」は非を認める言葉であると同時に、相手の意に添えないことを伝える言葉でもあるのです。

だからこそ、伝わり方によって誤解が生じることもあります。

多用しすぎた彼は、「ごめんね」の威力を痛感しているのでしょう。

迎えに行った先で、笑ってくれた彼女。彼は予想外の結末に驚きながらも、彼女の手を取ったのでしょう。

再び二人で過ごす日々が始まります。

記念日にだけ必死になる彼。夢見てわがままを言う彼。彼は彼のまま何も変わっていません。

でも彼は、一度壊れかけた恋の修復を何よりも優先してくれたのです。

一分一秒でも早くと思って最終バスに乗って、彼女を連れ戻しに来てくれたのです。

彼にとって彼女は、世間体よりも夢よりも何よりも大切な存在。その思いは彼女にしっかり伝わりました。

だからこれから先、彼女が無理して笑うことはありません。

彼女の本当の笑顔とともに、彼は夢を追いかけ、時々わがままを言って、彼女と手を繋いで歩いていくのでしょう。

ひび割れが生じた恋の修復に必要なものは何なのか。

「Another Story」の歌詞を紐解き、強く考えさせられました。

プレゼントでも「ごめんね」の言葉でもなく、思いの強さをどのように伝えるかが大切なのでしょう。

アルバム収録曲の隠れた名曲「水上バス」。

こちらもストーリー性のある切ない恋愛ソングです。