「旅」を連想できる楽曲といえば?
ワクワク・ドキドキする歌詞
「旅」を連想する楽曲といえば、読者の皆さんはどんな曲を思い浮かべるでしょうか?
筆者は小沢健二の「僕らが旅に出る理由」や奥田民生の「さすらい」など、ワクワク・ドキドキしながらポジティブに前に進んでいこうという歌詞が魅力的な楽曲を思い浮かべます。
今回は、そんな数ある旅ソングの中から、旅へ想いを馳せる歌詞が印象的なスピッツの「僕はきっと旅に出る」という楽曲をピックアップして紹介していきます!
スピッツ「僕はきっと旅に出る」
2013年リリース
まずは、「僕はきっと旅に出る」の基本情報から触れていきましょう。
この楽曲は、2013年5月15日にリリースされた38枚目のシングルです。
スピッツは、2017年が結成30周年だったので、このシングルを出した時は25周年を越えたあたりですね。
コンスタントにリリースを続けてはいますが、前作のリリースからは3年弱と少し間が空いています。
これは、メジャーデビュー20周年を迎えた2011年に東日本大震災が起こり、ボーカル&ギターの草野がそれを受けて急性ストレス障害で倒れてしまったことが関係しているかもしれません。
その後の2012年は、アルバム・シングル共にリリースがなかったので、ファンにとってこのシングルは待望のリリースとなったことでしょう。
そのためか、オリコン週間チャートでは5位を記録し、好セールスを叩き出しています。
また、このシングルは両A面シングルとなっており、もう1曲には「さらさら」が収録されています。
ちなみに「さらさら」は、J-WAVEの「春のキャンペーン TOKYO NEW STANDARD」テーマソングやテレビドラマ「伊藤くん A to E」のエンディングテーマに起用されました。
さらに、「僕はきっと旅に出る」は、JTBの「夏旅2013」CMソングに起用されており、両曲のタイアップが好セールスに良い影響を与えたことは間違いないでしょう。
アルバム「小さな生き物」に収録
それでは、次に「僕はきっと旅に出る」が収録されたアルバムについて触れていきましょう。
この楽曲は、2013年9月11日にリリースされた14枚目のアルバムである「小さな生き物」の13曲目に収録されました。
前述したように、2012年にはリリースが無かったこともあってか、このアルバムもファン待望のリリースとなったようです。
それを証明するかのように、オリコン週間チャートでは首位を獲得し、スピッツの人気の高さを見せ付けた話題の1枚になっています。
また、それ以外にも話題になったことがあります。
これまでのスピッツは、アルバムのリリースにおいては1種類の形態でのリリースを貫いてきました。
しかし、このアルバムは、「デラックスエディション 完全数量限定生産盤」、「期間限定盤」、「通常盤」の3つの形態でリリースされたのです。
これは、スピッツとして初めての試みであり、その話題性はもちろんのこと、時代の変遷を感じるような1枚になりました。
ちなみに、「さらさら」も6曲目に収録されています。
旅へ想いを馳せる歌詞の意味を解釈!
それでは、いよいよ「僕はきっと旅に出る」の歌詞に迫っていきましょう。
笑えない日々のはじっこで 普通の世界が怖くて
君と旅した思い出が 曲がった魂整えてく
今日も ありがとう
出典: 僕はきっと旅に出る/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
まずは、導入部分です。
この歌詞の主人公は、周りの人と同じように生活していくのが苦手なのかもしれません。
思うようにいかない日々や退屈な日々は誰しもあることでしょう。
しかし、だからといってポジティブな気持ちへと自分で自分の気持ちを導いていくことは容易ではありません。
そんな中で、道を示してくれるような存在であり、気持ちを上向かせてくれる存在が「君と旅した思い出」なのではないでしょうか。
その思い出に支えられ、それに感謝している気持ちが冒頭では表現されています。
僕はきっと旅に出る 今はまだ難しいけど
未知の歌や匂いや 不思議な景色探しに
星の無い空見上げて あふれそうな星を描く
愚かだろうか? 想像じゃなくなるそん時まで
出典: 僕はきっと旅に出る/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
そして、その思い出を振り返りながら、今度は自分1人で旅に出ることをイメージしていきます。
知らない物事は、この世にたくさん溢れています。
そんな未知なる世界へと飛び出し、自分の道を切り開いていくことを主人公は望んでいるようです。
しかし、誰かが敷いたレールを進んでいく方が、よっぽど楽でしょう。
この主人公は、それを愚かかもしれないと理解しつつも、理想へ向かって前向きに進んでいこうとしているのではないでしょうか。
指の汚れが落ちなくて 長いこと水で洗ったり
朝の日射しを避けながら 裏道選んで歩いたり
でもね わかってる
出典: 僕はきっと旅に出る/作詞:草野正宗 作曲:草野正宗
ここは、草野マサムネ節がとても効いている歌詞になっています。
比喩的表現を上手に使いこなす彼は、一見意味が分からないようで、心に届いてくる不思議な歌詞の世界観を持っています。
ここでは、「指の汚れ」は、自分がしてきた悪いこと、難しく言うと「業(ごう)」のようなものを表現しているように感じます。
しかも、「長いこと水で洗ったり」するほどなので、相当深いもののような気がします。
また、「朝の日差しを避けながら」や「裏道」という言葉からは、なるべく人目に付かないように、ひっそりと生きてきたことが窺えます。
そして、最後の「わかってる」は、何を分かっているのでしょうか?