何度も繰り返される苦しい恋愛。
いつだって「幸せ」になることを望んでいるのに、なぜかそれが叶わない。
解決の糸口が分からない問題ほど不安を掻き立てます。
そして後半に出てくる「此処にいる」という言葉…。
いったいどんな意味合いなのでしょうか?
「なぜ彼とまだ付き合っているのか?」あるいは「何でまだこの世で生きているのか?」。
この2つの意味合いではないかと推測できます。
いずれにせよ、限界まで神経を擦り減らし、今にも息絶えそうなのが伝わりますね。
過去の経験を引きずっている
“うまくいかない”
それは自分のせいだと
過去が息をさせてくれない
出典: 溺死/作詞:ミオヤマザキ 作曲:ミオヤマザキ
願っても「幸せ」になれない理由。
それは過去のトラウマが原因となっていることが示唆されています。
呪縛のようにまとわりつく悲しい経験。
主人公は今もなお思い出し、再現されてしまうトラウマと戦っているのです。
上手に向き合えない
こみ上げる不安の正体
幸せに包まれた瞬間(とき)さえ
壊れる事ばかり恐れて
“ただ愛し愛されたいだけなのに・・・”
どうしてこんなに難しいんだよ
出典: 溺死/作詞:ミオヤマザキ 作曲:ミオヤマザキ
恋愛しているときというのは、この上ない幸福感を感じることができるもの。
ところが、この主人公の場合はそうでもないようです。
「この幸せが終わってしまうのが怖い」
そんな意識ばかり湧いてしまい、目の前の幸せを上手に受け入れることができないのです。
このような思考を「見捨てられ不安」と呼びます。
多くの場合は、幼少期や過去の経験で負ったトラウマが原因となるこの心理。
自分自身を客観視できているからこそ、余計に苦しく感じてしまいますね。
不器用な人柄
行かないで 行かないで
私を独りにしないで
どうして幸せになれない?
悲しいよ 悲しいよ
届かないのに
それでも笑ってみせた
出典: 溺死/作詞:ミオヤマザキ 作曲:ミオヤマザキ
自分のもとを去ろうとしたり、冷たく対応する誰かに対して、素直に自分の気持ちが言えない。
なぜなら、自分が発言することで「関係性が壊れてしまう」ことが怖いから。
そして「自分さえ我慢すれば関係が維持できる」という発想のもと、無理矢理に笑顔を浮かべてしまうのです。
でも、それを続けたからといって良い方向へ進展することは、ほとんどないでしょう。
この楽曲の主人公は「他人との健全な関係性」を築くことが苦手なのがうかがえます。
つまり不器用な人柄なのですね。
ただひたすら溺れゆく
いっそ死ぬなら…
あなたのキスで塞がれたまま
息をすることを諦めて
私は死んでもよかった
出典: 溺死/作詞:ミオヤマザキ 作曲:ミオヤマザキ
ここでも「窒息」を連想させる表現が出てきます。
先ほどまでは「悲しい愛情に溺れて死んでしまいそう」という表現が続きました。
でも、いっそ死ぬなら「あなたのキスで口を塞いで窒息したい」と言っているのです。
とても切ない言葉ですね…。
とにかく相手のことが好きで好きで堪らないのでしょう。
何が「間違い」だった?
どこかで何かが間違ってたのか
“期待しなきゃ傷付かない”
なんて、嘘。
出典: 溺死/作詞:ミオヤマザキ 作曲:ミオヤマザキ
「絶望」は何が原因で感じるのでしょうか?
先に「期待」をしていて、その「期待」と「現実」が違うから絶望する…。
だから、そもそも「期待」している自分に責任がある。
主人公はそう考え、無理を重ねてしまったようです。
ところがそれを「嘘」と言っているのはなぜでしょうか?
自分に言い聞かせたところで、苦痛が取り払われるわけではなかったのがうかがえますね。
そもそも、無理を重ねることを選択した時点で「間違い」だったのかもしれません。