「不死鳥」の続編「眠り姫」
SEKAI NO OWARIの3rdシングル「眠り姫」は、2010年にリリースした1stアルバムの「EARTH」に収録されている「死の魔法」、2011年リリースのシングル「INORI」に収録されている「不死鳥」にリンクしている楽曲です。
眠り姫というロマンティックなおとぎ話の名前がタイトルになっていますが、前作に引き続いて大きなテーマになっているのは「死」。
「死」と眠り姫は、いったいどのような関係があるのでしょうか?これから詳しく読み解いていきましょう!
死をテーマにした「不死鳥」
前作「不死鳥」は、ロボットの女の子と人間の男の子のストーリーです。
歌詞の中で、男の子は「永遠」を望み、女の子は「死」を望みます。
お互いに相手の立場を思いやった結果です。
不死身の女の子と、限りある命の男の子のそんな矛盾した状況の恋を通じて、死の手前にある「今」を大切にしたいという深瀬さんの希望を感じることができます。
始まりは「死の魔法」
「不死鳥」のさらに前の「死の魔法」は、これまで自分が造ってきたものや見てきたものが無くなってしまうことへのやりきれない想いを歌っています。
「死の魔法」で打ち明けた死についての悩みや悲しみに対するアンサーソングが、「不死鳥」のようです。
そして、今を生きているという希望を見出した「不死鳥」の続きが「眠り姫」になっています。
つまり、3つの楽曲を通して聴くと死をテーマにしたひとつの物語になるというわけなんです。
「眠り姫」の歌詞の内容は?
「死の魔法」「不死鳥」の歌詞のおさらいをしたところで、いよいよ「眠り姫」の歌詞の内容を見ていきましょう。
以前の作品では、死に恐怖し思い悩む対象は自分でした。
自分が造ったり見たりしたものが無くなることや、自分の愛する女の子と別れなければならないことへのせつなさに目が向けられていました。
眠り姫はそこから視点がさらに、大切な家族や仲間に向けられています。
そして、愛する人たちが死んでいなくなってしまうことへの不安を歌っています。
いつまでもそばにいてほしい大切な人への想い
ある朝 僕が目を覚ますと この世界には君はいないんだね
出典: 眠り姫/作詞:深瀬慧 作曲:深瀬慧
「君」というのは、深瀬さんの大切な仲間のことです。どんなに愛していても、どんなに仲良くしていても、みんないつかは死んでいなくなってしまいます。
そうした仲間の「死」を考えたときの、どうしようもない不安や悲しみを表現しているようです。
Ah 君はいつの日か深い眠りにおちてしまうんだね
そしたらもう目を覚まさないんだね
出典: 眠り姫/作詞:深瀬慧 作曲:深瀬慧
一方、死は「安らかな眠り」とも表現されるように、心地よいイメージでとらえることもできます。
もちろん、大切な人が死んでしまうなんてあってほしくないことです。
けれども、深瀬さんは死をここであえて「深い眠り」に例えています。
そこから、いつかは訪れる死を受け入れる覚悟を垣間見ることができそうです。
「死の魔法」や「不死鳥」にはなかった考え方です。
一緒に冒険してきた思い出
ボーっと火を吹くドラゴンも僕ら二人で戦ったね
勇者の剣も見つけてきたよね
出典: 眠り姫/作詞:深瀬慧 作曲:深瀬慧
眠り姫は、深瀬さんと思われる「僕」と一緒にドラゴンを倒したり勇者の剣を見つけたりと、数々の冒険を繰り広げてきました。
こうした思い出をふりかえりながら、永遠の眠りについてしまっている姫の寝顔を眺めているときの「僕」の悲しみやとまどいは相当なものでしょう。
自分に置き換えて想像するだけで、涙がでてきそうです。
ちなみにこの冒険については、意見が分かれています。歌詞全体をファンタジーとしてとらえて文字通りの冒険をイメージする人と、オンラインゲームで眠り姫と僕が一緒にストーリーを進めていたと想像する人で、異なるコメントが投稿されています。
みなさんはどうイメージして聴いていましたか?