楽曲を巡るこれらのことから、Aimerのことで浮かんだエピソードが一つ。

彼女は夜が好きで、夜更かしをして歌詞を書くことが多いと語っています。

この曲もまた、夜空に浮かぶ星を想ってのもので、夜に書いたからこそ浮かんできたものではないでしょうか。

そして「冬」というテーマも実は夜に関連しているんです。

冬は日が短くなり、夜も長くなりますね。

そう思うと冬の星座をモチーフにしたこの曲に、夜が好きなAimer自身を表しているような印象すら浮かんできます。

歌声にも「夜」を感じさせる

歌にはその人の人となりが表れるといいますね。

言われてみると、Aimerの歌声にも「夜の憂い」のようなものを感じるところがありませんか?

真冬に浮かぶ星たちに感情移入した歌詞に迫る

この曲の歌詞は、そんな「冬のダイヤモンド」の一役を担う星たちの気持ちを想像したもの。

いつも変わらず手の届きそうな距離に居ても、決して交わることはない6つの星。

星に感情があるのなら、彼らもまたこの歌詞のようなことを思っているのでしょうか。

ここから、その内容に共に迫っていきましょう。

変わらない距離を保ち続ける星たち

どこにいるの? 「ここにいるよ」
そこにいるの? 「そばにいるよ」
ここにいるの? 「いつもいるよ」
どこにいるの? わからないよ

互いの場所 確かめ合う そっと輝く 冬の星座
暗い空にしがみついて 強い風に流されないようにと

出典: 冬のダイヤモンド/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大

必死に相手の居場所を問う主人公。

自分たちの浮かぶ夜空は暗くて、相手の居場所もはっきりとは見えません。

ただわかっているのは「近くにいる」ということだけ。

問いかけられたその星は「いつもそばにいる」と返しますが、主人公の不安でたまらない様子が感じられます。

主人公はそこから離れないように、必死に夜空にしがみつくことしかできないのです。

神様に自分の生まれを問う

神様 あなたはそこで 何を思って 何を見つめるの
教えて こんな私の願いを聞いても笑うだけでしょ? そうでしょ?

出典: 冬のダイヤモンド/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大

「神様は何を思って、自分たちを届きそうで届かない距離に置いたのか」という主人公。

遥か昔からその距離が縮まることはありませんでした。

今さら願ったところで、神様が聞き入れてくれるはずもありません。

月並みの言葉ですが、人は一人では生きていけないと言いますね。

星だってきっと孤独に対する感情は同じ。

生まれながらに孤独だなんて、どれほどに苦しいことでしょう。

孤独に過ごして来たから

悲しくて涙がなくなるほど 苦しくて痛みがなくなるほど
虚しくて心がなくなる こんな夜には何をすればいい?

もし誰か手を差しのべてたなら うれしくて笑えてたのかな?
永遠に交わらない星座を 誰かが呼んだ 冬のダイヤモンド

出典: 冬のダイヤモンド/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大

主人公は長い間その悲しみと向き合って来たんです。もう涙も枯れてしまいました。

胸の痛みだって、毎日続けば感覚がマヒして感じなくなります。

そして気持ちを向ける相手も居なければ何を思っても虚しいだけ。

それでもそこから動くことが出来ない自分には、何も手立てがないのです。

「もし傍で輝く星の誰かがここにやって来てくれたなら、自分はまた笑うことが出来るのだろうか」

交わることを知らない星たちは、温もりに触れることでどんな気持ちになるのかも知らないのです。

星たちの存在意義は

手をつないで 「手を伸ばして」
顔を見せて 「顔をあげて」
声を聞かせて 「声を出して」
話し方がわからないよ

互いの意味 確かめ合う そっと輝く 冬の星座
遠い過去にしがみついて もう誰にも忘れられないようにと

出典: 冬のダイヤモンド/作詞:aimerrhythm 作曲:飛内将大