「お前」とはファンのことでもある
宮本浩次を含めてエレファントカシマシは2019年2月に業界最大手芸能事務所アミューズへ移籍。
このことが今後の宮本浩次とエレファントカシマシの活動にどういった影響を及ぼすかはまだ分かりません。
宮本浩次のソロ名義シングルを2作連続でリリースしたこと。
そのことにバンドのファンは一抹の不安を感じてもいます。
しかし宮本浩次はこう歌います。
時代が変わっても変わらぬ宝物
お前の笑顔とオレの魂
出典: 解き放て、我らが新時代/作詞:宮本浩次 作曲:宮本浩次
ここでの「お前」とは宮本浩次のパーソナルな生活での「お前」だけではなくリスナーすべてを指すもの。
ファンをいい意味で裏切るのが得意な宮本浩次とエレカシですが、その笑顔を壊すことはないはずです。
優しい人々へのエール
いつでも挑戦者サイド
心やさしき者たちよ 遠慮してない?
やっちまえ! 飛び出せ Jump!
Winding Road. Up down で So!
空見て空気吸って飛び出せ Jump!
もっと大胆な声きかせて baby
baby baby baby いくぜ baby
いわば我ら永遠のチャレンジャー
出典: 解き放て、我らが新時代/作詞:宮本浩次 作曲:宮本浩次
宮本浩次がこれほどスムーズにラップを決めてくれるとは思いませんでした。
元々、エレファントカシマシでもスピード感のある曲では饒舌に言葉を繰り出していた宮本浩次。
とはいえ従前の歌い方ではHIP HOPでのライムの扱いとは方法が違ったはずです。
宮本浩次自身がしばられていないことの証左でしょう。
歌詞の中で宮本浩次は優しい人々へ配慮を述べます。
萎縮してはいないかと気にかけて優しい人々を鼓舞するのです。
宮本浩次はこういった優しい人々にもっと活躍して欲しいのでしょう。
彼自身の心根の優しさが透けるようです。
いつも自身を挑戦者側へ置くのが彼の変わらないスタンスで安心します。
「ファイティングマン」との近似性
権力者をぶっとばせ?!
しばられるな!解き放て、理想像
胸の奥の宝物
ぶっ! ぶっ! ぶっとばせ!
ゆけ! 解き放て! 我が心の新時代
出典: 解き放て、我らが新時代/作詞:宮本浩次 作曲:宮本浩次
新時代に革命を宣言するようなチカラまでも感じるラインです。
相手を押し倒してでも行けというようなメッセージがあり、ではその「相手」とは何だろう? となります。
エレファントカシマシの初期の勢いでしたなら、ここは古い権威・権力者と解釈できるはず。
「ファイティングマン」の歌詞には実際に権力者をせせら笑えという意味のラインがありました。
デビューから31年が経った今も宮本浩次のことですからその辺りは変わらないような気がします。
デビュー30周年記念ベスト・アルバムのタイトルを「THE FIGHTING MAN」と銘打つ人ですから。
古い権力者を打倒して新時代を築こう。
宮本浩次は常にそう考えている危険人物と信じたいもの。
逃亡はもうやめた
時代は変わる
Yo! Yo! 陽気なる逃亡者たるキミへ
そろそろ本気になろうぜ Dive!
大胆にもっと Jump! 傷ついて
何度でも立ち上がれ Let's dance
涙に Kiss 昨日に Kiss 明日に Kiss Kiss
実は永遠の Boys & Girls
キミの人生と言う名の舞台じゃ キミが主人公
出典: 解き放て、我らが新時代/作詞:宮本浩次 作曲:宮本浩次
2節に分かれた歌詞ですが宮本浩次は一息で歌い切ります。
ポスト・モダン思想が流行った時代にはやたらと「逃亡」することが持て囃されました。
これはジル・ドゥルーズとフィリップス・ガタリの「千のプラトー」に出てくる「逃走線」を誤読したもの。
本来、革命を主張するような著作「千のプラトー」でしたが難しすぎてワードだけが独り歩きしました。
そうした誤解された「逃亡」をいつまで続けて自分を肯定するの?
宮本浩次の告発は深刻です。