「Attitude」はどんなもの

Mrs. GREEN APPLE【Attitude】歌詞の意味を考察!これは遺言?世間に示す態度とはの画像

2019年10月2日発表、Mrs. GREEN APPLE通算4作目のアルバム「Attitude」

このアルバムのタイトル・チューンである「Attitude」について解説いたしましょう。

Mrs. GREEN APPLE姿勢や態度について明確に歌い上げているのです。

大森元貴の哲学的な思考などが読み取れて大変面白い歌詞であります。

読み解くには哲学に関しての簡単な基礎知識が必要になるかもしれません。

哲学に固有の述語が登場しますので最小限の解説を添えてゆきます。

ただ「Attitude」というタイトルでも分かる通り、ダイナミックな態度表明こそが歌詞の生命です。

世界の有り様、人間の在り方について大森元貴の様々な想いが打ち明けられます。

躍動する歌詞の生命を活かすような解釈が必要になるでしょう。

さらに進化するMrs. GREEN APPLEのサウンドも聴きどころです。

大森元貴は歌詞とは遺書のようなものとも歌っています。

彼が歌っていることの真意を紐解いてゆきましょう。

歌詞の情報量が圧巻ですので覚悟してください。

それでは実際の歌詞をご覧いただきましょう。

姿勢表明演説のよう

アルバムの冒頭の挨拶

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あぁ、どうか いつか
僕の我儘が終わるまで

どうにか届くように 届くようにと綴る
でもやっぱり100は無理
ちょっと「あむり」で終わり

出典: Attitude/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴

歌い出しです。

「Attitude」はアルバムの2曲目に収録されています。

ただし1曲目は1分程度の短いインストゥルメンタル曲です。

そのため「Attitude」はアルバム最初の歌詞が入る楽曲になります。

つまりアルバムを始めるに際しての挨拶や心構えを宣誓する歌詞になっているのです。

語り手の僕はおそらく大森元貴そのものでしょう。

これから始まるアルバムの全曲の歌詞について自分なりにこんな感じで書いたよという告白になります。

こんな気分や気持ちをもとにして歌詞を書いているからよろしくという挨拶です。

他のアーティストでしたらこうした挨拶は省くのがスタンダードでしょう。

しかしMrs. GREEN APPLEというか大森元貴は自分の歌詞について一家言ある人です。

どうしても始めに断っておきたいことがたくさんあったのでしょう。

「Attitude」は歌詞に対する態度についての姿勢表明演説のようなものになっています。

歌詞はどこまで届くかな

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歌詞を書くことはわがままに近いことなのかもしれないと大森元貴は認識しています。

このわがままに最後まで付き合って欲しい。

つまりアルバムを最後まで聴き遂げてねという祈るようなお願いをするのです。

できればこのアルバムだけでなくアーティスト人生の最後まで付き合ってくれたらさらに嬉しい。

大森元貴はこの点で貪欲にリスナーを求めています。

自分の想いを歌にしたところで受け手がいない限りは独り言です。

音楽というものはあくまでもコミュニケーションによって成り立つもの。

そのために聴いてくれるリスナーを誰よりも大切にしているのです。

歌詞に込めたメッセージは本当にリスナーにダイレクトな形で届くのでしょうか。

その成否は歌詞を書いている時点ではまだ分かりません。

しかし歌詞を書いているそのときにこそこの想いが届くことを祈らずにはいられないのです。

100パーセント、すべて届けようなんて無理でしょう。

日頃の日常会話ですら100パーセント、相手に想いを伝えきるのは試練です。

顔を向かい合わせてのコミュニケーションですらすべてを伝えるのは難しい。

ましてや音楽アルバムという媒介を通してのコミュニケーションで想いを伝えきることは至難でしょう。

それでもやってみるしかないのがアーティストというものです。

すべてが届かないことは予め承知しているけれど、大切なところだけでも聴いて欲しいと願っています。

強い人の方が少ない世界

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「弱い人ばっか居ます」
この世は弱い人ばっか居ます。
そんなとこだけでも
何処かに響けば良いなと思っています

出典: Attitude/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴

世界も世間も強い人ばかりがいる訳じゃないです。

ましてや音楽という繊細なものに気を配れるリスナーはどこかに優しさと弱さを持ち合わせています。

つまり音楽の世界には弱い人ばかりがいるのです。

そのことを非難するつもりは大森元貴には一切ないでしょう。

むしろ彼は弱い人のために多くの言葉を割きたいと願っているのです。

自分が言葉を届ける人はまず弱い人がいるところ。

大森元貴も音楽に魅せられる繊細な神経の持ち主です。

マッチョイズムが横行する世界に嫌気が差しています。

いっそのこと弱いといわれる人だけで社会を構成した方が優しい社会を作れるはずだと信じるのです。

そのために世間では強い人の方が少ないよという事実を歌い上げます。

この歌が世界の片隅で鳴り響くことを祈ってやまないのです。

Mrs. GREEN APPLEと大森元貴の視野・視界というものを見た気がします。

自分の心を躍らせる

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まずメロディーに乗せる愛を探しながら
阿呆みたいに今日もね
何かを信じて心躍らすのが
A.t.Ti.Tude
私のA.t.Ti.Tude
キャッチーなメロディーに隠れるは
そう、偶像

出典: Attitude/作詞:大森元貴 作曲:大森元貴

「Attitude」はどこまでも大森元貴の歌詞が出来上がるまでの過程に照準を合わせています。

彼によるとメロディーが先にできているようです。

そこに乗せるものを探すのですが、言葉ではなく愛を見つけるのだといいます。

こうした作業を毎日繰り返すというのです。

大森元貴の頭の中ではメロディーや歌詞がいつでも鳴り響いているのでしょう。

アーティストは自分の信念を歌詞というものに昇華します。

その際に自分の信じるものによってまず自分の心が高揚しないといきません。

こうした条件の中で作品を書くのが大森元貴のAttitudeだといいます。

Attitudeとは姿勢や態度という意味になるでしょう。

つまり大森元貴の基本姿勢であり基本的な態度というものをこの「Attitude」で表明するのです。

優先するのは心を掴むこと、つまりキャッチーなメロディーに乗せること。

そこに乗せるものは大森元貴が育てた創造物です。

何にせよまず自分の心が躍るようなものではないかぎりリスナーの心はつかめないだろうと確信します。

こうしたまず自分で試した想いというものを冒頭でわがままと表現していたのを思い出してください。

芸術・文化には自己満足がないと生まれ得ないという性格があります。

大森元貴はこうした正直な事情を「Attitude」で言葉にしているのです。

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