東京事変の「最後の曲」
解散後のアルバムに収録された未発表の新曲
2012年の閏日、多くのファンに惜しまれながら解散した邦ロックバンド「東京事変」。彼らの「最後の曲」をご存知ですか?
「最後の曲」と言われて浮かんでくるのは、解散ライブ「Bon Voyage」で最後に演奏された「透明人間」だったり、最後のアルバム『Color Bars』に収録された「今夜はから騒ぎ」など。
ですがライブでも音楽番組などでも一切披露していない、解散後にリリースされた未発表(当時)の新曲があります。
それが、「ただならぬ関係」です。
アルバム『深夜枠』のラストトラックに収録
「ただならぬ関係」は、東京事変解散の約5カ月後、2012年8月にリリースされたアルバム『深夜枠』に収録されています。
(ちなみに東京事変のアルバム名は『教育』番組、『大人(アダルト)』番組、『娯楽(バラエティ)』番組…と、全てテレビ番組のカテゴリーからとっているのです。)
アルバム『深夜枠』は、これまでアルバムに収録されてこなかった、シングルのB面楽曲を集めた一枚。
そのラストトラックとして収録されたのが、解散から5カ月後に贈られた新曲「ただならぬ関係」で、まさにこれが東京事変の「最後の曲」となるのです。
浮雲作曲によるポップナンバー
同曲は、作詞は椎名林檎/浮雲、作曲は浮雲によるポップナンバー。リズミカルな、なんだか色気を感じる流れるようなメロディーはさすが浮雲といったところでしょうか。
椎名林檎の歌声も合わさり、心にストンと馴染むナンバーになっています。
歌詞から読み解く「ただならぬ関係」
では、「ただならぬ関係」の歌詞の意味をコード進行とともに見ていきましょう。
A7 E♭/F D/E C/D G
ほら 見て まだ く ら く ら
A7 E♭/F D/E C/D G
声 汗 綺麗 恥 じ らっ て
D♭m7 Em7 FM7
この まま ただ
A E♭7 GM7 D♭7 G♭M7 A/B FM7 E7
た か なっ た あ の と き
A E♭7 GM7 D♭7 G♭M7 A/B FM7
き わ だっ た き も ちを
E7
思い出して
出典: ただならぬ関係/作詞:浮雲、椎名林檎 作曲:浮雲
「高鳴ったあの時 際立った気持ちを 思い出して」。
このフレーズはおそらく、ライブでのパフォーマンスに酔いしれた瞬間やCDで東京事変の曲を聴いた瞬間など、彼らの楽曲に触れて気持ちが高揚したかつての時を言っているのでしょう。
メンバーとともに駆け抜けた7年半。彼らの解散後に改めて、ライブやCD音源で感じた高揚感を思い出してほしい、そんな意味合いが込められていると考えられます。
A E♭7 GM7 D♭7 G♭M7 A/B FM7 E7
だ き し め て て ずっ と
A E♭7 GM7 D♭7 G♭M7 A/B FM7
ど こ か で ま じ わって
E7
逢えるかもね
A Em7
忘れないで 零さないで
D Dm7
そっと握りしめ て
D♭m7 G♭m7
ポケットの中に潜 ませて
DM7 A Dm7
そし て今日 も連 れてってよ
出典: ただならぬ関係/作詞:浮雲、椎名林檎 作曲:浮雲
こちらは後半部分の歌詞。
「抱きしめててずっと どこかで交わって 逢えるかもね」も、東京事変からファンへ向けたメッセージと考えられるでしょう。
以降に続くサビのフレーズはすべて、「東京事変の楽曲をあなたの生活の一部に沿わせて」という意味が込められています。
「ポケットの中に潜ませて そして今日も連れてってよ」。非常に丁寧で、繊細なフレーズです。