夢の中で上映された夢?
この後も不思議な言葉が並びます。まず分からないのが“ランブリングサマーシャドウ”ですね。
ランブリング(rambling)はまとまりのない様子。7月にリリースされた曲ですから夏を意識してサマーと続きます。
時間帯は夜ですね。夏の影が揺らめく中で、見ているのは映画のように繰り広げられる夢なのでしょうか。
夢の中ならパラダイスにもハリウッドにも行かれます。一目ぼれの恋にも出会えます。まとまりも整合性もないのが、夏の夜に見る夢です。
勘違いの多い私は、映画を栄華と思っていました。あこがれのハリウッドへ進出する栄華を夢見ている歌と思い込んでいましたが、違いましたね。(笑)
宝石をよく知っての歌詞?
なにかが今日はリアルでシュールな
青いシャドウに
二匹の豹のサファイヤルビーの
あの口づけ、秘め事に
Make-up Shadowに
Make-up Shadowに
Make-up
出典: Make-up Shadow/作詞:井上陽水 作曲:彩目映
現実と非現実がないまぜになった結果、青い影のように二匹の豹が出現したようです。
“サファイヤルビー”と一つの言葉になっていますが、どちらも同じ鉱物からできていることを、井上陽水さんは知っていたのでしょうか?
ここでいきなり宝石マメ知識コーナー開設します。
コランダム (corundum) は、酸化アルミニウム (Al2O3) の結晶からなる鉱物。鋼玉(こうぎょく)とも呼ばれる。赤鉄鉱グループに属する。
純粋な結晶は無色透明であるが、結晶に組みこまれる不純物イオンにより色がつき、ルビー(赤色)、サファイア(青色などの赤色以外のもの)などと呼び分けられる。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/コランダム
サファイアとルビーは見た目は全く違うモノに見えますが、ルーツをたどれば同じ鉱物(コランダム)だったのですね。
美しさをまとった鉱物は宝石と名前を変えます。元は同じ鉱物だったことを隠して、青と赤の希少な輝きを見せてくれます。
秘密は「Make-up Shadow」に隠したまま、歌はこの後も不思議空間を広げます。
作曲を担当した彩目映って誰?
井上陽水さんの作品はほとんどがご本人の作詞・作曲です。でも今回の楽曲の作曲を担当しているのが、彩目映さん。
この楽曲のために特別参加をしたアーティストなのかと思って検索してみました。
全く知らなかった私はビックリ。彩目映(あやめうつる)さんは佐藤準さんの別名でした。
1955年3月7日生まれ。作曲家、音楽プロデュース、アレンジャー、キーボーディスト。代表曲には「セーラー服を脱がさないで」など多数。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/佐藤準
佐藤準さんといえば私の中ではピアノを演奏する一人のアーティストとしての印象が強かったのですが、1980年代のアイドルからニューミュージックを経て、平成のアイドルにも楽曲を提供しています。
シンガーソングライターが作る曲の編曲も数えきれないほど担当しています。
歌は最後まで謎のまま♪それは愛だから?
黄昏は
様々なロンリーサマーシャドウに
見とれているだけ、決まって
デートの雨、
それはメルヘン、Hard Rain
彼氏を待ったり、彼に出会ったり
なにかが今日もリアルでシュールな
青いシャドウに
どこか卑怯なイライザブルーのあの輝き、
瞳の魅力のようなミクロの微粒子の
淡いシャドウに
二匹の豹のサファイヤルビーの
あの口づけ、秘め事に
Make-up Shadowに
Make-up Shadowに
Make-up Shadowに
出典: Make-up Shadow/作詞:井上陽水 作曲:彩目映
夢の次はメルヘン?
夢を見た後はメルヘンの世界で愛が繰り広げられるようです。愛の浮揚感は降る雨も物語のように見えてきます。
空想の世界に降る雨なら濡れる心配はありません。強く降る雨の中で、待つことも出会うことも苦にはなりません。
現実と空想と妄想がごちゃ混ぜになった“青いシャドウ”の中に愛が漂います。
なんてメルヘンの中に浸っていると次に出てくるのは“イライザブルー”です。色の名前と思っていたらそれも勘違いでした。
イライザを知るためにパソコン講座開始です。
ELIZA(イライザ)は初期の素朴な自然言語処理プログラムの1つである。対話型(インタラクティブ)であるが、音声による会話をするシステムではない。スクリプト (script) へのユーザーの応答を処理する形で動作する。
出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/ELIZA
イライザ(ELIZA)は初期の言語を処理能力を持つプログラム。音声入力の会話ではなく、入力された文章の質問に答えていました。
現在の人工知能の元になっています。
2018年現在はスマホなどに向かって「へ~い、○○」と呼びかけるのがフツーになっています。(シャイな私はやっていません) その元になったのがイライザでした。
PCが一般に広まり始めたのは1995年。1993年リリースの「Make-up Shadow」の制作時に、このワードを知っていた井上陽水さんの見識の高さはさすがです。
“卑怯なイライザブルー”ですがいずれ世の中を席巻するシステムであることも予想していたのでしょうか。
今のようなポジティブさが無かったイライザの回答は、見れば落ち込むような内容がほとんどだったようです。
愛を確認してもはぐらかされるだけ。質問をした私の心を見透かしているから出てくる答えでメンタルはブルーになるだけです。
表情も変えずに返す様子は卑怯者に見えてきます。
のぞき込んだ瞳にも、私が期待しているような答えはどこにも見当たりません。あの時交わした口づけは真実のはず。隠れて交わした影のような口づけだけが、今の愛の証です。
意味不明な「Make-up Shadow」を私なりに探ってみました。
もしかしてサファイアとルビーはどちらを買うかで迷っていたとか、イライザは好きだった女の子につけたニックネームだったりするのも、井上陽水さんらしくていいですよね。