oblivious
何処へ行くの
遠くに逃げてゆく水の中
何て綺麗な声で
二人の未来を
歌って
出典: oblivious/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記
相手はどこかへと逃げてしまうのでしょうか。
だとしたら、やはり想い合う恋ではないようです。
つまりそれは、片想い。
一方で自分はうまく動けず、もがいてしまいます。
その状況を「水の中」とたとえているように思えます。
更に自分が動く際に耳を掠める水の音が、歌になるのかもしれません。
二人を切り裂いたにもかかわらず、それでも二人の未来を歌って欲しい。
ここまで歌詞に何度も「未来」が出てくるのは、主人公にとって未来が大きな意味を持つものなのでしょう。
怖いけれど、欲しているもののようです。
この曲のモチーフとなった霧絵は、病で余命があまりありません。
近い内に自分は死ぬけれど、好きな人と一緒にいる未来に行きたいのでしょう。
未来に対する複雑な葛藤が見えてきます。
「oblivious」の意味とは
「oblivious」とは、英語で「気付かない」や「忘れる」という意味の単語です。
タイトルからしても切ない印象がありますね。
歌詞はひたむきに主人公が相手のことを想う歌詞ですが、相手は残念ながらその気持ちに気付いていない様子。
それでも諦めきれず、時間に限りのある恋を続けているということなのでしょう。
無謀とも言えるかもしれませんが、夢を見ていると解釈することもできそうです。
歌詞は黒桐幹也に対する巫条霧絵の想い?
「oblivious」の歌詞を「空の境界」に結びつけると、巫条霧絵の恋を歌っていると考えられます。
彼女は、昏睡状態だった式が入院する同じ病院に入院していました。
余命いくばくもない中、毎週式のお見舞いにやってくる幹也に恋をします。
これが『俯瞰風景』で幹也が昏睡状態になってしまう原因になるのです。
幹也は式一筋なので、自分には振り向いてくれません。
この様が叶わぬ恋を表しているのではないでしょうか。
つまり、歌詞中の「二人」とは幹也と霧絵のことで、「君」も幹也のことなのかもしれません。
何故「羽ばたく」のが怖かったのか
結局、歌詞の最初にあった「羽ばたくときが怖い」理由は分かりませんでした。
これは『俯瞰風景』を見れば分かるのですが、「浮遊」と「飛ぶ」ことの違いにあります。
「浮遊」と「飛ぶ」ことは似て非なるものです。
「浮遊」は自分の意思に関わらず、ぼんやりと浮いています。
一方「飛ぶ(羽ばたく)」のは自分の意思でやらないと体は浮かびません。
これらを「死」と置き換えて考えてみると、「浮遊」は病気で死んでいく自然死を意味します。
一方「羽ばたく」ことは「自分の意思で死ぬ」こと、つまり自殺を意味するのです。
霧絵は余命が少なく、ベッドの上で死を待っている状況にありました。
こんな状態では、生きたいと願える希望も見いだせず「早く死にたい」と思っても不思議ではありません。
「空を飛べるのは分かっていた」のは、「自殺しようと思えばできた」と言い換えることができます。
だからといって、自殺するのも漠然と怖かったのではないでしょうか。
「風を忘れた」のも、「自分は自殺しようにもできない」と自分で自分をだましていたのかもしれません。
「羽ばたく」のが怖かったのは、自分から一歩を踏み出すのが怖かったからと考えられます。
後のKalafinaの人気につながる隠れた名曲
obliviousの歌詞を解説しました。
『俯瞰風景』を視聴すれば、歌詞の情景もより分かるでしょう。
Kalafinaの始まりとも呼べるこの曲は、まさに隠れた名曲です。
この曲があったからこそ、この後のKalafinaがあります。
そう考えると、とても重要な立ち位置にあった曲ですね。
Kalafina 『sprinter』待望の2ndシングル、女性メンバーが歌う美しい歌詞の意味とは? - 音楽メディアOTOKAKE(オトカケ)
『sprinter』は、劇場版アニメ『空の境界』の主題歌です。 Kalafinaの美しい声とともに、切ない歌詞も話題になりました。 今回はその意味を中心に詳しくご紹介していきます。
「sprinter」は「空の境界」第五章『矛盾螺旋』の主題歌。
メインキャラクターの臙条巴をイメージした曲で、切なくも爽快感溢れる曲となっています。
「oblivious」とはまた違ったテイストの神曲ですので、とてもオススメです!
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