終点もないような
果てしない闇の向こう
彗星の列車で
もう君は帰る 行く宛もなく
一度脈打ったら
この気持ちだって
止まってくれやしないのに
言いそびれた言葉も
あの夏の空の向こう側
出典: 彗星列車のベルが鳴る/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
男の子は女の子に自分の気持ちを伝えられず、ただ彼女が「帰っていく」のを見つめるばかり。
この曲の語り手は主人公の男の子だと思います。
もう一人の主人公である女の子が帰っていくのは、はたしてどこなんでしょうか?
「彗星」は、はかなく綺麗です。
男の子にとって、想いをよせる女の子は、文字通りはかなく綺麗な「彗星」なんですね。
男の子から女の子へのラブレター
2番Aメロ~2番Bメロ
世界中の 星を集めても
霞んでしまうくらい 君は綺麗だ
羽のように 眠るように
寝息も立てずに
「夕陽が落ちるまで遊ぼう?」
足跡がひとつ 立ち止まった
出典: 彗星列車のベルが鳴る/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
1番が序章だとしたら、2番は恋文・回想シーンです。
Aメロの、男の子が女の子に宛てたラブレターのような文面が、それを物語っていますね!!
ここでも「星を集めて」という、文学的な表現があります。
Bメロは、2人の幼いころの思い出なんでしょうか?
1番Bメロにあった「他愛もない日々」を、男の子は回想しているんでしょうね。
2番サビ
君をまだ好きしている
あの夏の向こうで 何回だって恋している
こんな子供じみた 気持ちのままだ
「はい」も「いいえ」も無い
でも御伽噺(おとぎばなし)みたいなワンフレームを
望んでは 止まないような
弱虫なボクで ごめんね
出典: 彗星列車のベルが鳴る/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
「好きしている」という言い回しは一風変わった言い回しですが、男の子の一途な想いを直接表現するにはもってこいの言い回しですね!
「あの夏の向こうで」という部分は、「夏を越えて」という意味ではなく、「あの夏を通して」という意味だと思います。
男の子は胸に秘めた恋心を女の子に伝えられないまま、彼女と別れなければならなかったのでしょう。
それを悔やむ男の子の心情が良く出ています。
Cメロ~3番Bメロ
静けさを溶かして
朝焼けもまだ見ぬ空に
鐘は鳴る
「もう帰らなきゃ」
ぽつり 夢が覚めていく
いかないでよ
出典: 彗星列車のベルが鳴る/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
さきほど、1番は序章、2番は恋文・回想シーンと書きましたが、Cメロからは、終章になります。
また、Cメロからは、リアルタイムで起こっているような表現になっています。
それは「鐘が鳴る」という、語尾が現在進行形になっているところからうかがえますね。
唯一、女の子の視点から書かれた歌詞が登場しますが、それは「もう帰らなきゃ」という、せつない一言です。
また、女の子視点の歌詞もここだけです。
女の子視点の歌詞を一か所にすることで、それに重みと深い余韻が出ますね。
大サビ
終点も 無いような
果てしない闇の向こう
彗星の列車で
もう君は還る 行く宛もなく
一度脈打ったら この気持ちだって
止まってくれやしないのに
もうこの手を離したら
彗星が尾を引いたら
言いそびれた言葉も
あの夏の空の向こう側
出典: 彗星列車のベルが鳴る/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
クライマックスで、冒頭に述べた真相が分かるようになっています。
3番Bメロで、女の子は男の子に「もう帰らなきゃ」と告げました。
しかし、ここでは「君は還る」という漢字を使用しています。
この漢字が示すように、女の子は亡くなっているのです。
よく動物が亡くなったり、花が枯れたりすると「星になる」という表現をしますが、この曲では、女の子が「彗星の列車」で「還る」という表現をしています。
「彗星の列車」という比喩の美しさと「君は還る」という比喩のはかなさが、絶妙なまでにマッチしていますね。
おわりに
いかがでしたでしょうか?
今回は、美しくも切ない夏の名曲、「彗星列車のベルが鳴る」の歌詞を解説しました。
男の子と女の子の淡い恋は、「織姫と彦星」のように、神話になったのでしょうか?
成就できない恋を描いたという点では、まさに「現代の七夕伝説」だと思います。
さて、そろそろ夏が到来します。
皆さん、この曲を聴きながら、遥か彼方まで想いを巡らしてみませんか?
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