楽曲について
堂村璃羽の楽曲『共依存』。
羅列した仮初の愛を謳った悲痛な歌詞が畳み掛けてくる楽曲です。
息をつく暇もなく、自分の経験と照らし合わせてしまい、どこかネガティブに。
2019年2月2日にYouTubeで公開された後、150万回再生をも超えるヒット作となっています。
ただ心に飽和していた虚無感や寂しさを埋めようとしていた愛。
経験があれど、その複雑な想いを外に吐き出すことは容易ではないでしょう。
ですが、この楽曲は当時の記憶をフラッシュバックさせながら、ゆっくりと輪郭を象っていきます。
そんな魅力的な歌詞を1つ1つ紐解いていきましょう。
互いに依存し過ぎた
即席の愛
求めあって絡み合って
愛を演じあってまた
偽りの愛をただ
抱きしめて眠る
出典: 共依存/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽
ここの歌詞に描かれていることが楽曲の本質なのではないかと解釈します。
そして全てが本当の愛から起こっている行為ではないことも読み取れます。
互いに受け入れて、愛したフリをして、満足感を得るためにひたすらに求めた2人。
主人公は自分の中で「このままではダメ」だと気づいているのに、やめられないのです。
まさにタイトルにもある「依存」に浸かり切っている姿が伝わってきます。
快感を得て溺れていく
望まれるたびにまた
心からだ溶かしてく
蜃気楼になっていく
真実の姿が
出典: 共依存/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽
そして、上記のように想っているのは主人公だけではありません。
相手側も主人公と同じ、「依存」した心情を抱いていると解釈出来ます。
互いに「本当の自分」が煙のように消えて見えなくなっていく。
だとしても、仮にこの関係を止めてしまえば、自分が何者かすら分からなくなってしまうのです。
空っぽな2人が1本の細い糸でギリギリに繋がって「自分」を保ち続けているのだといえます。
抜け出せない夜
抜け出すべきだなんて
わかりきってはいるけれど
落とし穴にハマる夜
寂しさに別れを
告げあなたと過ごす夜は
刹那的な逃げ場所でしかないと知っているのに
出典: 共依存/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽
注目すべきは、歌詞3行目にある「落とし穴」という言葉です。
ここから主人公が、この関係にネガティブなイメージを持っていると考えられます。
たった1つの夜を越える間だけ楽になれる。
まるで麻薬のように、その効果が得られるのは一瞬なのです。
いつしか、楽になるための「手段」が「目的」へと変化したといえます。
それは現代のアルコールやドラックにも共通していえること。
だからこそタイトルに使われている言葉は「依存」なのです。
何も悪い事をしているという自覚がなければ依存にはなりにくい。
そこに罪悪感や背徳感が備わった瞬間に依存は加速していきます。
愛に振り回され続ける
変わらない朝
愛してるの言葉が
溜息と混じり合う
赤の他人のあなたを
求めちゃうバカな私
空回りばかりしちゃって出口も
見つけられないまま
行き着く先はいつも同じ
出典: 共依存/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽