口から出る愛を謳った想いは全て戯言

主人公は相手の性格も中身も好きな物も名前さえも知らないままなのです。

ただ1つ、快感だけを共通認識しているだけの歪な関係。

夜の入り口はいつも同じだけれど、出口を変えて今の自分から抜け出そうとしています。

しかし、身体を預けた瞬間にその想いは泡のように消えていきます。

自分で判断して決めた意思すらも、この関係に振り回され続けていくのでしょう。

ダメだと分かっていても

必要とされたくって
でも最後には捨てられて
都合のいいおもちゃに
なった自分に気づかなくて
わかってても変われない
バカと信じたくはない
それでもまた無意識に求めてる

出典: 共依存/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽

誰かの物になることが出来ないから、誰にでも身体を預けている毎日。

その一瞬の夜に「誰かの物」になれたという満足感だけで生き繋いでいるのです。

例え、仮初の愛だとしても必死に求め続けた主人公。

ですが、これまでに幾度となく距離を置かれてきたことが読み取れます。

そして、歌詞の後半で映し出されているのは、本能のままに矛盾を孕みながら生きている姿

そうして何度も悲しみに暮れた夜があったのだと解釈することが出来ます。

その名は「共依存」

Codependent
もう離れられないあたし
をあなたは最後に捨てていく
また同じ夜を越え
生まれるのはonly Lonely

出典: 共依存/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽

Codependentとは聞き馴染みの無い英語ですが、意味はそのままに「共依存」。

さらにここで謳われていることは、上述してきた解釈とほぼ同義です。

しかしながら、何度も同じ意味が繰り返されているということに注目します。

それだけに「誰かの物」から「誰のものでも無い」に変わる瞬間が悲痛だといっているのでしょうか。

背中を向けてベッドから出ていくあなたを空っぽなままで見つめる。

そうしてまた誰かに身体を預けて、また捨てられての繰り返しなのです。

これは決して主人公だけではありません。

相手側もまた別の誰かと夜を埋め合わせていくのでしょう。

変化することの難しさ

1番変わりたいのは自分

共依存がどうしようと
治らない今日日を
生きる処置法はなく
どうにもできぬ夜に
「もういいよ」告げたとこで
また繰り返すだけだよって
わかってるよ誰よりも
自分が一番

出典: 共依存/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽

主人公は、抜け出せない負のスパイラルにはまり込んでいる現状を自覚しているのです。

しかし、変えようと思ってもすぐには治らないし変えられないのが「依存」の怖さ。

これは、アルコール依存症やギャンブル依存症などにも共通していえることです。

日に日に蝕まれていく心で浮かべた理想像も無価値

まるで生きることに諦念したかのように毎日が無気力なのでしょう。

そして、そのまま今日の快感を得るため、夜に消えていくのです。

悲痛な叫び

ダメだなんて言うならば
出口を教えてよ
何度も探しても歩いては終わるだけ
それならいっそこのまま
落ちていったほうが
いいって もういいって
無理なものは無理って

出典: 共依存/作詞:堂村璃羽 作曲:堂村璃羽

このような状況にある人々を世間は決して良い目で見ることは無いでしょう。

それどころか、無責任な言葉ばかりを吐き捨てていく様子が目に浮かびます。

変わらない毎日で、ただ仮の愛情を求めるだけの日々。

それでも、変わろうとして失敗するくらいならこのままの方が幸せだといっているのです。

上述したように、人によって満足や幸福の定義は大きく変化していく。

そう思うと、主人公が必死に生き繋いでいるこの状況にどこか共感を抱いてしまいます。

希う想い

頭を過ぎる「死」