自分が存在する意味、生きる意味を誰しもが考えたことがあるでしょう。
自分は何のためにここに存在しているのか。
自分が生き続けていく意味とは?
その答えを探すために生きているのかもしれません。
自分が生きる意味なんてないんだと僕は言っています。
こんな面白みのない毎日で、自分の存在意義も見つからないとあきらめているのでしょう。
しかし、僕も君と同じように願うのです。
こんな日々にももしかしたら生きる答えが見つかるかもしれないと。
自分を偽ることに
作られた物語
最近は映画の見すぎで奇跡も珍しくなくなったね
心にもないことでもすらすら言えるようになったよ
出典: トレモロ/作詞:野田 洋次郎 作曲:野田 洋次郎
その虚構の物語を素晴らしく引き立てるのが、作られた言葉です。
役者があたかも心からそう思っているように、台詞を言い演じることによって生まれる奇跡の物語。
それらに人々は作りものだと分かっていながらも感動するのです。
しかし、作られたいわば既製品の奇跡は必ず飽きがきます。
感動し涙していた役者の数々の台詞もやがては予想のできる展開として頭にインプットされてゆきます。
いつの間にか自分にとって特別だった言葉も特別なものではなくなっていくのです。
それはやがてどんな言葉を言うべきなのか、どう言ったら相手は感動するのかという思考になるのです。
「自分はどうか」よりも「周りにどう見られたいのか」ばかりを気にするようになります。
綺麗な言葉で取り繕う。
そこに、自分自身はもういないのです。
そこにあるだけで美しいもの
ほら 僕が僕から離れてく そんなことさえも忘れたくなる
「真実とはねそれだけで美しいんだ」 と言って
出典: トレモロ/作詞:野田 洋次郎 作曲:野田 洋次郎
他人から嫌われることは辛いです。
でも自分の言いたいことも気持ちも抑えつけて良い人を演じることはもっと苦しいです。
自分ではない自分を演じ続けているうちに、次第に本当の自分が分からなくなってしまいます。
僕は、次第に薄れていく本当の自分をなすすべもなく見ていることしかできないのでしょう。
ただ、分かっているのです。
虚構の美しさはいつも磨いていなければ朽ち果ててしまうものということを。
そして、誰かに言ってほしいのです。
そこに真実があるものは何もしなくても永遠に強く美しいものなのだということを。
突きつけられる、現実
満天の空に君の声が響いてもいいような綺麗な夜
悲しみが悲しみで終わると疑わぬように
神様は僕に夢を見させた
出典: トレモロ/作詞:野田 洋次郎 作曲:野田 洋次郎
幸せすぎることが起こると「夢なら覚めないで」と祈ります。
深い悲しみや絶望感に襲われたときは「悪夢でありますように」と願います。
こんなに悲しくてやりきれない現実はきっと夢なんだと僕は眠りについたのでしょうか。
しかし、夜が明けて目が覚めます。
そして、この現実は夢ではないのだと思い知らされるのです。
その時僕が感じたのは絶望でしょうか。
もしかしたら、現実を受け入れたことで希望を抱いたのかもしれません。
その答えが次の歌詞に隠れているようです。
それでも、望みは捨てたくない
自分自身の手で
今開いていたページの上に描いてみようかな
『離さないよ繋いでいたいの 僕は僕の手を』
出典: トレモロ/作詞:野田 洋次郎 作曲:野田 洋次郎
僕は、自分の未来への物語を自分の手で変えようとしているようです。
未来図がどんなに下手くそでも、いびつなものでもいいのです。
それは紛れもなく自分自身の手で描いたものなのです。
ほんの少しの望みでも、持ち続ける意味があります。
それがやがては生きる意味にも力にもなっていくのでしょう。
自分が存在して生きている意味は、自分自身で見つける。
2行目の歌詞にはそんな決意のようなものを感じることができます。