「theater D」とは?

theater D(MYTH & ROID)の歌詞を和訳&解釈!悲劇が予感される言葉の連続に戦慄!の画像

アニメの挿入歌として使用された「theater D」

theater D テレビアニメ『Re:ゼロから始める異世界生活』挿入歌(第14話エンディングテーマ)

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/MYTH_&_ROID

主人公が大きな絶望を味わったシーンから流れ始め、強い印象を残しました。

不安・緊張感・絶望感をあおる旋律に衝撃を受けたファンも多かったのではないでしょうか。

今回は「theater D」の歌詞和訳しながら、そこに描かれた絶望を掘り下げます。

この曲に埋め込まれたストーリーは、ただ歌詞を眺めているだけでは浮かんできません。

それほど難解な歌詞だといえるでしょう。

歌詞を解説

「絶望」という名の劇場へ

The ticket is all that I have lost
十分な喪失と招待され

出典: theater D/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID

出だしの歌詞を和訳すると「チケットは全ての『失われしもの』だった」となります。

楽曲名から分かるように、この曲の舞台は「劇場」です。

その演目を鑑賞するためのチケットについて語っているのだと推測できます。

しかしこの時点では意味が見えてきません。

曲の主人公はチケットをどこかで買ったわけではないようです。

劇場に入るのに必要な条件を満たしていたのでしょう。その条件が『失われしもの』に該当します。

主人公は今まで様々なものを失う経験をしたのでしょう。

何かを失う、という経験に楽しいものはほとんどありません。

選ばれしものだとはいえ、このような理由で選ばれたのであれば一体何を見せられるのか不安に駆られます。 

続く英詞にその内容が書かれていました。

Today’s program is : a tragedy
救済の一切もない名作を

出典: theater D/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID

「本日の演目:悲劇」

「悲劇」という言葉に対するぼんやりとしたイメージはあっても、言語化して確認することはあまりありません。

多くは主人公となる人物の行為が破滅的結果に帰着する筋を持つ。

出典: https://ja.wikipedia.org/wiki/悲劇

何かを失ってなお、こんなものを見せられることになったわけですね。

しかし主人公はそのチケットを受け取り、劇場に足を運んだのでしょう。

「これぞ悲劇のお手本」といわんばかりの内容のようですが、多くの支持を集めていることが歌詞から分かります。

つまり、多くを失った人の行く先に待っているものは悲劇なのです。

開演の前に注意事項を説明します

“Please be quiet. Hope is noisy”

出典: theater D/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID

「静粛に。希望は雑音ですよ」

このように和訳できます。

この劇場ではお菓子を食べる音よりもお喋りよりも大きな迷惑行為となるのが「希望」の持ち込みなのです。

主人公をとことんまで追い詰める環境だと見受けられます。

The dreams rot off and drop away
望みこそ腐敗の元凶

出典: theater D/作詞:MYTH & ROID 作曲:MYTH & ROID

「夢は消え去る」

ザックリとした和訳はこのようになりますが、実は「腐る」という言葉が使われています。

ただその場から幻のように消えるのではないようです。

じわじわと細菌に蝕まれて形を変え、異臭を発しながら消えていく夢。

「夢」というポジティブな言葉が、見るに堪えない変化をしていくのが想像できます。

夢を腐らせる原因は歌詞の中で明らかにされています。

この歌詞ではおそらく「希望」も夢を腐らせる原因のひとつなのでしょう。

ここから読み取れるのは、希望と絶望の関係です。

大きな夢を抱き、きっとそれが叶うだろうという明るい希望を抱く。

もしそれが叶わなかったらどうなるでしょうか。

叶わないと分かってすぐに諦めれば「腐る」ことはありません。

叶わないからもっと努力をする。次こそうまくいくだろうという希望を継ぎ足す。

夢に執着するからこそ、夢が潰えていく過程をまざまざと見せつけられるのです。

つまり「夢や希望が大きいほど絶望が深い」ということでしょう。