10thシングル「to the beginning」カップリング曲
『Fate/Zero』の劇伴をモチーフにした曲
Kalafinaの「満開」は、10thシングル「to the beginning」のカップリング曲として収録されています。
タイトルの通り、満天の星空を思わせる神秘的なメロディですね。
曲そのものはアニメ『Fate/Zero』の作中で使われた劇伴をモチーフにしたもの。
Fateファンの中には、聴いただけで名場面が脳裏によぎる人もいるのではないでしょうか。
そこに梶浦由記さんによって日本語の歌詞を加えられたのが「満天」です。
歌詞は少し抽象的で、よくよく考えないと分かりにくいかもしれません。
美しい言葉が、Kalafinaの歌声と非常にマッチしているのがこの曲の素晴らしいところでしょう。
そのきらびやかな言葉の中に、そこはかとない物悲しさを感じさせるのですが…。
いったい何を歌っているのでしょうか。
そんな「満天」の歌詞の意味を解説します。
アニメ『Fate/Zero』ED
「満天」はアニメ『Fate/Zero』のEDとしても使用されました。
EDといってもやや特殊な扱いとなっていて、実際に使用されたのは18話と19話のみ。
この2話はこのアニメの主人公・衛宮切嗣の過去を描くお話となります。
パートナーであるはずのセイバーと相容れない切嗣ですが、どうして彼はそのような人間になったのか。
それが分かる物語で、「満天」は流れます。
つまりこの曲の歌詞は、彼をテーマにしているのかもしれませんね。
アニメとかなり深いつながりがありそうです。
祈りは時を越えて
かつて抱いていた願いや祈り。
それらを抱いて行動しても、必ずしも叶うとは限りません。
現にこの歌詞もまた、叶うことはなかったようです。
では、叶わずに終わってしまった願いや祈りはどこへ行くのでしょうか。
叶わなかった願いが星になる
静かに瞬く
星たちの散り逝く空
届かぬ祈りが
天と地を満たしてた
出典: 満天/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記
星々が輝く空は、タイトルの通り「満天」という言葉がよく似合います。
星空は見た目こそキラキラしていますが、その様は静かで儚いもの。
少し物悲しい気さえするでしょう。
「散り逝く」という漢字の使い方がそれを感じさせます。
これらの星一つ一つが、叶わなかった祈りと重ねているようです。
叶わなかった祈りの数だけ星になっているのでしょうか。
それとも、砕け散った祈りの破片が星となっているのかもしれません。
まるで死ぬ間際の最後の灯火のように、星々が輝いているのを眺めているのです。
咲かなかった花
細い枝に光るのは
咲き忘れた未来
まだ名残惜しそうに蕾を落とした
出典: 満天/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記
砕け散った祈りがあるということは、自分の望んだ未来が訪れなかったということを意味します。
手に入れられなかった未来を、「蕾」とたとえているのですね。
その蕾が花開く時は永遠に訪れません。
何故なら、祈りが届かなかったことで願っていた未来が消えてしまったからです。
消える様が、3行目の「蕾が落ちる」なのでしょう。
自分の望んだものが打ち砕かれることは、情景にするとそんな感じなのですね。
それがどれだけ切なくて、悲しいことであるかがよく分かります。