ほら、もう時は満ちて
実る黄金の果実
その手で摘み取るだけで
世界は終わるから
出典: 満天/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記
蕾は落ちてしまいましたが、果実が実った枝はあったようです。
期待通りの未来は来なかったけれど、それでも守れたものや手に入れられた何かがあったということでしょうか。
しかしその実すら摘み取られてしまったら、世界は終わりを迎えることを意味します。
これは実際に世界が滅ぶのではなく、主人公にとっての世界が終わってしまうということでしょう。
果実は大切なものであり、摘み取られることは自分にとっての全てが失われるものなのです。
切嗣は最終的にすべてを失って士郎と出会うのですが…。
彼の未来を暗示しているような気がしてなりません。
決意と愛情の狭間で
穢れぬものとして降る雪の白さは
温もりを知れば消えてしまうの
奇麗な夢だけが貴方を切り裂いた
冷たい瞳の優しさと真実
出典: 満天/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記
祈りが叶わなかった結果、雪のように冷たくて汚れることのない高潔な道をとることにしたようです。
それはあまりにも冷徹で危険で、多くの人々から恨みを買うものなのでしょう。
きっと誰かから理解してもらうことすら不可能かもしれません。
ダークヒーローみたいですね。
自分で選んだ非道の道ですが、だからこそ優しさに触れると揺らいでしまいます。
何かを愛してしまうと、自分で決めたはずの道を歩めなくなってしまう。
本来人としての道を外れ、影の中で生きてきた人でなければ感じられない感覚でしょう。
自ら決めた暗闇の道と、知ってしまった人の温もり。
その間で葛藤し、苦しんでいる様がうかがえます。
星の戦い
激しく瞬く星たちは天に背いて
仇なす祈りが
この空を墜とすまで
出典: 満天/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記
冒頭で届かなかった祈りが星となったと解説しましたが、ここの歌詞では様相が違うようです。
天の神様に抗うようにギラギラと光を放っています。
一度は打ち砕かれた祈りでも、諦めきれないという思いがあるのでしょうか。
いつか反抗して戦って、自分がいる筈の空を墜としてしまおうとしているのです。
運命に翻弄されない、自分の未来は自分で切り開くという意思のたとえでしょう。
それが彼の選んだ戦いでもあります。
いつか来る未来で
誰からも理解されない、孤独な戦いを続ける主人公。
そんな彼にも、希望ある明るい未来に思いを馳せる時があるのでしょう。
『Fate/Zero』でも多くの人々を救うために少数を切り捨てるのが、切嗣の選んだ戦いでした。
自分が戦った先で、救われる未来が来ることを信じています。
しかしその未来が来た時、自分はそこで生きられないと悟っているようです。
たとえ生きていたとしても、長くは生きられないかもしれません。
もし自分がいなくなったら…そんなことまで考えが及びます。
自分が死んでも
私を弔う為の
花束はいらない
心が潰えぬうちに願いを叶えて
出典: 満天/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記
影で戦う彼にもいつか自分に大切な人ができて、最期を看取ってくれる人が現れるかもしれません。
この歌詞は、その人に向けた遺言のように思えます。
いなくなる自分のことなんて振り返らないで、願いをかなえるために努力して欲しい。
それが主人公の願いのようです。
主人公にはかつて、胸に抱いていた願いがありました。
ですが、その祈りは届くことなく打ち砕かれてしまっています。
大切な人に、自分と同じ道をたどってほしくないのではないでしょうか。
自分の死を悲しんで心を潰すよりも、前を向いてほしいと思っているのかもしれません。
望みが星のように輝く
見届けてみたい
人の望みが
燦々と光に満ちる時を
出典: 満天/作詞:梶浦由記 作曲:梶浦由記