「爪痕」は心身ともに消えないものになる

どうせ本当の事を知れないのであれば、最後まで嘘をつき通してほしい。
その方がのめり込んだ自分の気持ちも楽になれる。
その上でもう一度自分の身体に傷をつけてほしい。
自分の身体につけてくれた傷は現実のものとして残る。
確かに相手がいたことを実感できる。
短いフレーズの中にものすごく同意できる表現が入ってます。

うたかたの恋じゃなく 本当の愛を求めて
今でもまだうずいてる 胸にマリアの爪痕

出典: マリアの爪痕/作詞・作曲:yasu

ここで気持ちの矛盾が生じています。
嘘をつき通してほしいと言っていたものが、「本当の愛というキーワードに変化しています。
マリアに対して求めているのではなく、マリア以外のこれからの出会いに対しての感情なのだとは思います
ただ、身体に爪痕をつけたマリアは心にも爪痕を残していったわけです。
マリアに求めることができないものを他に求めるものの、超えることが出来なかった。
筆者は同じような経験はありませんが、「忘れられない人」という意味ではものすごく共感できる歌詞です。

実は純愛の歌詞でもある「マリアの爪痕」

ひたすら「愛」だけを求める関係?

馴れた息づかい 君は蛇使い
花びらは 濡れたまま ひらく
欲しがる僕は飢えたまま

出典: マリアの爪痕/作詞・作曲:yasu

最初に「その手の仕事ではない」と言いましたが、出会った場所の表現から考えると・・・。
仕事ではなくてもやはり魔性の女、なのでしょうか。
筆者にはある意味純愛にも思えています。

君の肩に 微笑むマリアのタトゥー
君を抱けば 愛に触れた気がした
朝に消えた女神 夢幻?

出典: マリアの爪痕/作詞・作曲:yasu

ただ愛を求める関係。
やはり純愛ですね!
その場には留まらないという意味では、打算もなく、それ以上の欲もないのでは、と思います。

女性の肌に描いた「マリア」

「白い肌」は実は女性側のこと?

マリア うつろな 世界に 君だけ
マリア 白い肌に 爪立てて 描いた

マリア 愛して 死ぬまで だまして
マリア 白い肌に 爪立てて もう一度

出典: マリアの爪痕/作詞・作曲:yasu

「白い肌」という表現に最初からひっかかっていました。
「白い肌」というのは女性の肌のことを言っているのではないか?
という疑問がここで加速します。
実は女性の肌に爪を立てて「マリア」を描いた。
という解釈もしてしまいました。
触れ合っている間についた傷が「マリア」に見えるのではないかとも解釈しています。
ただ、歌詞の主人公が爪を立ててもらうことを求めています。
やはり「白い肌」の人は男性なのでしょう。

霧のような世界で 一つだけの真実
君の残した傷跡 それはマリアの爪痕

出典: マリアの爪痕/作詞・作曲:yasu

自分が触れていた女性は夢か幻か。

確かに愛していたはずだけど、そこにいないかのような感覚にもなっている。

そんな中で唯一実感できるのが「爪痕」。

幻のようであって、現実としてあった「愛」の証でもあります。

この曲の歌詞からは女性がどう思っていたのかはわかりません。

現実としてあるのは、男性の前に今はいないこと。

男性が愛してやまない相手だけれども、それは手に入ることがない相手であること。

確かに存在していた証拠として残っている「爪痕」。

これだけです。

だからこそ、忘れられない出来事となって心に深く残っていくのです。