お互いを友だちグループの中の一人ととらえて、接していた二人。
でも彼女は密やかに彼に想いを寄せていました。
表に出してしまえば友だちという関係すら壊してしまうかもしれません。
他の友だちにだって迷惑をかけてしまうかもしれません。
自分の胸の中で大きく膨らんでいく想いはひた隠しにしていたのでしょう。
一方的な想い、つまり「片想い」でした。
しかしそれが突如「恋」に変わったという描写から考えられることは一つ。
彼も彼女に一方的な想いを寄せていて、ある日それを彼女に告白したのだと読み取れます。
想っているだけだったのに、想いと想いがぶつかって、恋に変わりました。
その日彼女は、今まで知らなかった何かを知ったようです。
二人の手も胸の鼓動も似ている
何を言っても何を言われても幸せな時間。
彼が教えてくれた「何か」はきっと、この瞬間にも彼女の胸にあるのです。
恋人同士だという実感
ふたりの手似てるねって あなたが言った
そんな小さなことで にやけた顔 もどらない
片想いが突然 恋に変わったあの日
あなたが教えてくれたもの
出典: The signs of LOVE/作詞:吉田美和 作曲:中村正人
彼は繋いだ手を見て「手が似てるね」と言いました。
彼の手と彼女の手、肌の色が似ているという可能性はあります。
小さな共通点であってもとにかく嬉しくて、ニヤニヤとしてしまったのですね。
でも一般的には男性と女性の手は質感に差があり、似ていると感じることは少ないように思うのです。
今までどおりに会話ができないぐらいに照れている彼。
もしかすると彼は必死になって話題を探し、行き着いた先が今まで見たことがない光景=繋いだ手だったのかもしれません。
冷静でいられたのなら「どこが?全然似てないよ」と彼女は思ったことでしょう。
今彼女は冷静の対極にいます。照れくささで浮足立っています。
手が似ていると気づくのは、手を繋いでいるから。手を繋いでいるのは恋人同士だから。
幸せな要素が数珠つなぎとなって押し寄せて、ニヤニヤが止まりません!
そしてここでまた、想いが通じ合った瞬間に知った「何か」について歌います。
同じ鼓動を感じていた
ね うれしすぎて夜を あなたも眠れなかったの?
出典: The signs of LOVE/作詞:吉田美和 作曲:中村正人
手を繋いで歩いた二人、例えば公園に辿り着き、ベンチに二人並んで腰を下ろしたと仮定しましょう。
道中、ずっと照れくさくて緊張し続けていた彼は、ここにきてやっとひと息つきます。
そこで「実は……」と想いが通じ合った日やその後のことを話し始めたのかもしれません。
実は告白した次の日、電車を乗り過ごしてしまった。ここ数日寝不足だ。
彼は直接的に「嬉しくて眠れなかった」とは言わなかったのでしょう。
だから彼女は「眠れなかったの?」と推測しているのです。
もちろん彼女もあの日の夜、眠れませんでした。
想いが通じ合った瞬間からずっと強いままの鼓動が、夜になっても鳴り止まなかったのではないでしょうか。
「愛」は大げさかもしれないけれど
片想いが突然 恋に変わったあの日
はじめて見つけた The signs of LOVE…
出典: The signs of LOVE/作詞:吉田美和 作曲:中村正人
一方的に寄せていた彼への想いが、彼からの想いと重なり合って「恋」が生まれました。
それまでは、誰かを想うことだけで精一杯だった彼女。
初めての「恋」の瞬間、今まで知らなかったものに出会います。
それが「愛のサイン」です。
見えてきた「愛のサイン」
愛なんて言うと少し 声が小さくなるけど
いちばん大切な何かが
出典: The signs of LOVE/作詞:吉田美和 作曲:中村正人
「好き」と「愛している」はどちらも誰かへの想いを表現する言葉です。
しかし後者を頻繁に使う人は少ないのではないでしょうか。
「愛」という言葉が持つ意味は「好き」に比べると非常に幅広く、自信を持って使える言葉ではありません。
彼女は「愛のサイン」を知ったものの、「愛」という言葉を使うことにためらいがあるようですね。
それでも「愛」と表現する以外に代わりの言葉が見つからないのでしょう。
「愛のサイン」は自分にとって何よりも大切な「何か」なのだと言います。