あまりにも鮮烈な”ポップスの怪物”のデビュー
有名ミュージシャンをごぼう抜きにした「奇跡の2カ月」
レディー・ガガのデビューはあまりにセンセーショナルでした。
2008年8月にリリースした1stアルバムの「The Fame」はいきなり大ヒット。
イギリスやカナダ、アイルランドで1位を獲得。アメリカでも4位を記録。
世界中で1200万枚以上のセールスを実現した超名作となったのです。
日本でも75万枚を売り上げ、知名度は一気に高まりました。
そのアルバムのプロモーション「The Fame Ball Tour」では、世界中のファンを熱狂させます。
オリジナリティー溢れるファッション、アーティスティックなステージングに世界は度肝を抜かれました。
そのなかでも特に高い評価を受けたのが、6曲目に収録された「Poker Face」です。
キャッチーで耳に残る印象的なメロディが人気になり、シングルカットされました。
「The Fame」のリリースから約1カ月後にリリースされたのですが、こちらも大ヒット。
アメリカやイギリス、カナダ、オーストラリアなど世界17カ国で1位を記録します。
特にイギリスでの人気が高く、ダウンロード数は史上最多となりました。
彼女の登場は音楽界にとっては、衝撃的なアクシデントでした。
たった2カ月でレディー・ガガは世界のトップミュージシャンたちをごぼう抜きにしたのです。
「Poker Face」の歌詞を読み解くうえで知っておくべきこと
セクシャルマイノリティとして
「Poker face」の歌詞を解説していきましょう。
そのためにまずは曲のテーマを知っておく必要があります。
ガガ曰く「Poker face」でテーマに据えたのは2つ。
「バイセクシャルとしての自分の考え」と「ロックンロール・ボーイフレンドへの称賛」です。
「バイセクシャル」とは男女の両方とも性的対象として見られる個性を持つ人のこと。
ガガは自身がバイセクシャルであることを公表しています。
そしてセクシャルマイノリティを守るためにあらゆる活動をしているのです。
たとえばまだ差別が色濃く残るシンガポールのラジオで自身の曲がかかったときのこと。
セクシャルマイノリティを肯定する歌詞の一部がカットされたことがありました。
ガガはラジオ局のこの行動に反発。シンガポールの国民に「平和的な抗議」を推奨したのです。
この発言にはシンガポールの差別撤廃の運動家も賛同しています。
また2010年に発刊された自身の伝記でも、セクシャルマイノリティについての記述が多くあります。
特にゲイについては、全ページのうち5分の1を占めているのです。
幼いころからセクシャルマイノリティに囲まれて育ったというガガ。
彼女の個性に注目しながら、歌詞を解読していきましょう。
セックスとギャンブルについて書いた詞の世界観
恋愛の駆け引きを描写する出だし
I wanna hold em' like they do in Texas please
Fold em' let em' hit me raise it baby stay with me (I love it)
LoveGame intuition play the cards with Spades to start
And after he's been hooked I'll play the one that's on his heart
出典: Poker face/作詞:Lady Gaga・RedOne 作曲:Lady Gaga・RedOne
”テキサス(ポーカー)をプレイするみたいに、彼らを抱えておきたいの
降りさせるのも 勝負させるのも レイズさせるのも ステイさせるのも大好きよ
恋の駆け引きはカードをプレイするのと一緒、スペードのペアから始めるの
彼を引っ掻けたら、彼のハートの上でプレイするわ”
この曲では、トランプのポーカーを通して世界が展開されます。
いきなり刺激的な恋愛の駆け引きが描かれていますね。
駆け引きといいながらも、すでにガガが優位に立っているような雰囲気。
かなりの自信をもって勝負を進めようとしています。
ここで注目したいのは「スペードのペア」というフレーズです。
これはおそらく、ゲイのことを指しているのではないかと思われます。
セクシャルマジョリティは、マイノリティの常識をまだ理解できていません。
口では賛同していても、結局はスペードとハートの組み合わせしかないと思っている。
しかしマイノリティの思考があるならば、スペード同士もあればハート同士の場合もあるのです。
こうした意味で、ガガは相手の男より一歩リードしているのでしょう。
とてもウィットに富んだ歌詞ですね。
ガガが表現した「自分らしくあること」の素晴らしさ
「あなたの物差しで私を測らないで」
Oh, oh, oh, oh, ohhhh, oh-oh-e-oh-oh-oh
I'll get him hot, show him what I've got
Oh, oh, oh, oh, ohhhh, oh-oh-e-oh-oh-oh,
I'll get him hot, show him what I've got
Oh, oh, oh, oh Oh, oh, oh, oh
出典: Poker face/作詞:Lady Gaga・RedOne 作曲:Lady Gaga・RedOne
”彼を熱くさせて、私の手のうちを見せてあげる
読めないわ 読めるわけないの 彼は私のポーカーフェイスを (他の誰でもない、私は私)
読めないわ 読めるわけないの 彼は私のポーカーフェイスを (他の誰でもない、私は私)”
Bメロとサビの歌詞を一気にご紹介します。
冒頭からAメロの自信たっぷりな姿勢は変わっていません。
ついには「手のうちを見せてあげる」と余裕を持って勝負を楽しんでいます。
Can't read my,
Can't read my
No he can't read my poker face
(she's got me like nobody)
Can't read my
Can't read my
No he can't read my poker face
(she's got me like nobody)
出典: Poker face/作詞:Lady Gaga・RedOne 作曲:Lady Gaga・RedOne
ガガは「Poker face」について「男に抱かれながら他の女のことを考えている女」を表現したそうです。
「ベッドのなかの女が心の中で何を考えているのかを読まなければいけない」と。
このセリフが最も表れているのはサビの部分でしょう。
「ベッドのなかで他の恋人、しかも女性のことを考えている私のことなんて分からない。
あなたの物差しで私を測らないで」。
「私は私」という歌詞からはこうしたガガのプライドを感じます。
しかし、コメントでは「大切なのは、ポーカーフェイスの裏を読むこと」とも言っています。
これは「セクシャルマイノリティに対する理解をもっと深めてほしい」という気持ちの表れなのでしょう。
曲名にはこうしたメッセージが隠されていたのですね。
