世紀の名曲「Hey Jude」へのアプローチ

ジョンとヨーコの愛の影で

ビートルズ【Hey Jude】歌詞を和訳して解説!悲しい時…落ち込んだ時…優しく励ましてくれる名曲の画像

妻シンシアとの婚姻中にヨーコ・オノとの不倫愛に陥ったジョン・レノン。

ポール・マッカートニーはその際にジョンとシンシアの息子・ジュリアン・レノンを心配しました。

父親を知らずに育ったジョン・レノンにとって息子・ジュリアンは接し方が分からなかったといわれます。

そのとき、ジュリアンの一番の友だちになったのがポールです。

ジュリアンの幼少の頃の写真にはいつもポールの姿がありました。

オノ・ヨーコとの不倫にひた走るジョンを横目にジュリアンの気持ちを真っ先に案じたポール。

彼が失意の底にいたジュリアンに宛てた歌が世紀の名曲「Hey Jude」です。

クレジットはいつもと同じく「Lennon=McCartney」ですが大半の作業はポールによるもの

複雑ですがジョンはこの曲の制作に重要な助言や助力を果たします。

ビートルズ時代のポールの曲でジョンが一番評価している曲がこの「Hey Jude」です

歌詞は悩める人に普遍的な訴求力を持つために様々な解釈がなされました。

ジョン・レノンは「オレのことでもある」ともいいます。

ただ、歌詞和訳して思うのは歳が離れたジュリアンを友人のように心配するポールの優しさです

今回は定説通りの解釈をしました。

悲しみに沈むすべての人々を優しく癒やしてくれる名曲の秘密にアプローチします。

20世紀を代表する名曲

ロンドン五輪の興奮

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2012年夏のロンドン五輪・開会式でのポール・マッカートニーのパフォーマンスは話題になりました。

五輪開会式で歌われた「Hey Jude」。

観客が熱狂しながら半世紀前の歌を大合唱する感動的なシーンでした。

ポールがパーソナルな想いを込めて作った曲を大観衆でシェアする

本国・イギリスのみならず全世界で同時生中継されて共感を得る。

歌が保つチカラの凄さや素晴らしさに打ち震えました。

ジョン・レノンとヨーコ・オノの急接近に胸を痛めていた息子・ジュリアン

彼に今は母・シンシアのことを考えてあげなよと助言するポール。

人が人を思い遣ることの素晴らしさを教えてくれます。

1968年8月発表、ビートルズの通算18作目のシングル

オリジナルアルバムには収録されていませんがアメリカ合衆国での編集盤「ヘイ・ジュード」に採録

また通称「青盤」と呼ばれるビートルズ後期のベスト盤や「パスト・マスターズ Vol.2」などに収録。

20世紀を代表する名曲になりました。

前置きが長くなりましたのでそろそろ歌詞を見ていきましょう。

ジュリアンの親友・ポール

ジュリアンよりも苦しんだ人

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Hey Jude, don't make it bad
Take a sad song and make it better
Remember to let her into your heart
Then you can start to make it better

出典: Hey Jude/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

ポールによるピアノ弾き語りの歌い出しです。

元々はジュリアンの愛称である「Jules」で歌詞を書いていました。

シングルでの発表を鑑みたときに普遍性に訴える「Jude」へと変更します。

和訳を見ていきましょう。

「ねえ、ジュード そんなにふさぎこむなよ

悲しい歌でも 素敵にしてみせてよ

彼女を受け入れてあげていいよね

そのとき君もうまくやりはじめるはずだよ」

歌詞中の「彼女」とはジュリアンの母、ジョンの妻・シンシアのことです

ジュリアン、君は今自分だけが落ち込んでいると思っているかもしれない。

でも、よく周りを見てご覧、もっと悲しんでいる人がいるよとポールは諭します。

悲しみに暮れる彼女のことを考えて受け入れてあげることで君の問題は解決するはずさ。

父であるジョンよりもジュリアンと仲良しだった「友人・ポール」の精一杯の言葉です

「いい人」だったポール

Lennon=McCartneyという天の采配

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Hey Jude,don't be afraid
You were made to go out and get her
The minute you let her under your skin
Then you begin to make it better

出典: Hey Jude/作詞:Lennon=McCartney 作曲:Lennon=McCartney

ジョン・レノンによるアコースティックギターがかぶさります。

コードストロークのみのシンプルな伴奏ですがとてもいい音。

歌詞は歌い出しの部分を拡張するように書かれています。

和訳を見ていきましょう。

「ねえ、ジュード 怖がらないでね

彼女のもとへ行って抱きしめてあげるんだよ

君が彼女のことを考えていられたら

そのとき君もうまくやりはじめるはずだよ」

歌詞を読むとポールというのは本当に「いい人」なのだろうと思ってしまいます。

カリスマ性ではジョン・レノンと比較すると一枚評価が落ちますが、ジョンには麻薬依存の問題がありました

麻薬依存が重度であった頃は自分でも認める「嫌な奴」であったのがジョン。

彼もシラフになるとまともで寛容な人間になりますが。

それに比べてポールにはそうした不安定さはあまり感じません。

ジョージとの決定的な確執を抱えていたポールですがこの辺りは音楽家同士としての難しさ。

基本は「いい人」であったと思いたいです

父親を知らずに育った無軌道な不良少年だったジョン・レノン。

労働者階級出身ですが堅実だったポール・マッカートニー。

天は素敵な采配で彼ら2人を巡り合わせました

悩んでいる人を笑うな

リンゴ・スターの会心のドラム