それでも悲しい記憶は、捨てきれず何気ない時に心の中を支配してしまうものです。
突然くる孤独感や、焦燥感は自分の心身を確実に削っていきます。
亡き人の事を何度も思い出し、枕を濡らし、絶望の中に引きずり込まれるような感覚は必ず付きまとってきます。
それは誰しもが経験することで、避けて通ることはできない、いずれ来る未来の一つなのかも知れません。
これからだって明るい未来だけではなく、暗い未来だって生まれていきます。
全ての人々には、幸せも不幸せも同様にのしかかってくるのです。
自分だけではありません。
普段は笑っているあの子だって、見せない涙や想いがたくさん隠れているのだと教えてくれているようです。
何ものでもなくなってしまった私
何度も追い越されて うずくまる
何度も取り残され 今日が冷えていく
何ものでもないもの 起き上がり
小さな勇気を使い 空になる
出典: 未来/作詞:星野源 作曲:星野源
恐ろしい記憶や悲しい過去は、繰り返します。
何度も何度も思い出し、何度も何度も後悔し、何度も何度も涙を流し、なかなか立ち上がることは難しいです。
みんなの前では取り繕って、騙し騙し日々を過ごしていくので精一杯。
楽しいことを考える余裕もありません。
やっとの想いで振り絞った小さな勇気を最後に疲れ果て、毎日生きていくことがやっとになってしまいます。
「私は何ものでもない。」
「必要とされていない。」
「もう残されたものは何もない。」
と考えているうちに負の連鎖は始まり、自分はどんどん空っぽになっていってしまう。
私はここの歌詞から、このようなメッセージが感じ取れました。
二番の歌詞の意味
一筋の光に
生温い 風の中
スタンドを 蹴り上げる
今日も生まれる未来さ
出典: 未来/作詞:星野源 作曲:星野源
変わらない毎日を繰り返す日常の中には、何個も立ち直るチャンスが転がっています。
それをものに出来るか出来ないかは自分の気持ち次第です。
いくらチャンスが来たってすっきりとした爽やかな気持ちではない時。
チャンスを受け入れることができずに突っぱねてしまうこともよくあります。
でもそれが私たち人間です。すぐに変化を受け入れることなんてできません。
反抗したって、無視したっていいのです。
そんな毎日からだって生まれてくる未来はあるのだということが、この歌詞からは伝わってきます。
二番のラストサビ部分の歌詞の意味
ラストのサビはまるで映画のワンシーン
何度も何度もなぜ うずくまる
何度も何度も見た 頬の雨がある
何度も何度も言うよ 始めから
たった一つだけを君は持っている
たった一つだけを君は持っている
出典: 未来/作詞:星野源 作曲:星野源
ラストのサビ部分の歌詞です。
もうこの歌詞を読んだだけでも込み上げてくるものが多く、目が潤んできてしまいます。
さらにプラスで星野源さんのやさしいあたたかい歌声が乗ってきて、より心の奥に染み渡っていきます。
「なんでそんなに自分を責めているの?」
「どうしてそんなに泣いているの?」
星野源さんが直接このように語りかけてくれているような気持ちになります。
「でも私にはなにもないから…」
「何回だって言うよ。君は君にしかない大事なものをずっと持っているじゃないか。」
まるで映画のラストのような情景が思い浮かびます。
星野源がラストのサビで伝えたい想い
この歌詞は悲しみに暮れ、路頭に迷っている自分を包み込んでくれるような淡い光のようです。
泣くなとか頑張れとか負けるなとか、力強い応援の言葉ではありません。
星野源さんが伝えたいのは、君は十分すぎる人間だよということ。
もう頑張りすぎているくらいだよということなのではないでしょうか。
なにも残されていないと落ち込んでしまった時。
実は誰かが傍でずっと見ていてしっかり寄り添ってくれていたのだということです。
亡き人を想い悲しみ続けてくれるなんてすごくやさしいことだとは思いませんか?
亡くなった人も大切な人が悲しみ続けているのは辛いことです。
しかし自分の事を想って涙を流してくれていることは、嬉しいことでもあるのではないでしょうか。
そんなやさしさが君にはあって、何もないなんてことはないのだと改めて分からせてくれたような気がします。