なぜまたこの曲がそのように言われてしまうのでしょうか。 それは陽水自身が1977年に大麻所持容疑で逮捕されたことに起因します。彼は下戸(お酒が飲めない人)だったため、代わりにマリファナを吸って気分を紛らわしたと自供したとか。懲役8ヶ月、執行猶予2年の判決を受けています。『夢の中へ』の発表が1973年ですから、「(1973年当時は)やってたかもね」といういわく付きの曲になってしまったのかも・・・・・・

真偽の程は?――それこそ藪(やぶ)の中です。

創作は苦しい、でも薬物は絶対ダメ!

かの村上春樹氏は自分の創作や小説を書くことに関して、著書『走ることについて語るときに僕の語ること』の中で次のように語っています。 「スコップを使って、汗水をながしながらせっせと足元に穴を掘っている内に、ずっと奥深くに眠っていた秘密の水脈にたまたまぶちあたったわけだ」

彼の場合、小説に紡ぐ言葉はすべて耕して見つけ出す水脈みたいなもので、非常に苦しい作業なのだということがわかります。いわゆる言葉が降りてくるとか、次々に沸いて出てくる、みたいなものではないと。

創作の泉を掘り当てる作業として、彼はランニングを行います。確かにランニングすると、ドーパミンが放出され”ランナーズハイ”という状況が生まれます。こうなると、すべてがうまくいくような前向きな気持ちになれるのです。「走ると創作の泉湧く」ということでは無いでしょうが、彼のランニング熱はどんどん高まり、行き着く先はトライアスロン、果てはマラソン中、給水できずに死にかけるというところまで行き着くのです。 ・・・・・・ここまで来ると、笑っちゃいますけどね。

自分の創作活動に行き詰まりを感じ、大物芸能人になればなるほど人気の凋落(ちょうらく)を恐れて薬物に走るアーティストは少なくないということもあります。またそうしたものを使うことを、芸術・アートの名において是とする風潮もあったりしますし、その結果で生まれた作品が、たまさかヒットしたり注目を浴びたりすると、薬を使う→創作する→ヒットする→やめられないという無限ループに陥りかねないこともあるでしょう。

でも、薬物は絶対にダメです。その先にあるのは薬物でボロボロになった脳と身体だけが残るだけ。薬物によって生み出されたのは、ただの幻覚のあとの排泄物のようなものなのですから・・・・・・

スカトロ趣味(排泄物を好んで見たりする趣味のこと)ならともかく、多くの人がそうした結果生み出された作品を望んでいるものではないことを考えなくてはなりません。

そして薬物を使ったら才能はおろか、社会的な信用・人間関係・人格やら、そんなものすべてが一切合切無くなってしまうということを、心しておかねばならないかも。

おわりに・・・・・・

いかがでしたか。『夢の中へ』の都市伝説がかくもまことしやかにささやかれてしまうのは、彼の逮捕歴というよりも、ひとえにあのミステリアスというか、何となくうさん臭さを醸すスタイルから来ているのかも知れませんよ。

それはかっこいい服の着こなしというよりは、独特の陽水スタイルだから。井上陽水の似顔絵をそらで描いて、と言われたら、絶対に外せないのは黒のサングラス。サングラスだけに外せない・・・・・・お後がよろしいようで。

やはり見てくれがうわさを呼ぶのかも知れません。見た目、アーティストでなければ魔術師みたいですからね。

井上陽水の持つアーティストとしての雰囲気や時代背景などなど、いくつかの要因が複雑に絡んでこのようなうわさを生み出したと思われるものの、楽曲のクオリティーはピカイチ。 陽水マジックとも言われる美声と世界観に浸るのにピッタリのアルバムおすすめです。

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