また繰り返す一週間へのやるせなさ
聴きたかったダンスミュージック リキッドルームに 続きまして 夢は朝には覚めます
出典: 聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
主人公の週末深夜のライブハウスでの気持ちの高ぶりは凄まじいものです。
それゆえに、普段の生活ではふざけたり腰を伸ばしたりすることは滅多にないのでしょう。
堅く懸命に仕事へ尽力しているイメージが想像できます。
だからこそ主人公は週末が楽しみで仕方がない。
一週間の癒しやストレス発散を求めて、ライブハウスに積極的に訪れているのです。
そして君という新しい魅力的な存在が現れたことで、ますます週末への感情が高ぶっていく。
しかし、それはまるで泡沫の夢のようで、すぐに次の怒涛の一週間が姿を現す。
「夢は朝には覚めます」という歌詞はまさに、夢は永遠とは続くことはないことを表しています。
また目の前の一週間を乗り越えなければならない。
そんなリアルな悲痛さが、ひしひしと伝わってきます。
君と音楽があるこの夜だけが欲しかった
君との関係性はまだ“他人”
君は週末深夜の ここでしか会えない他人
出典: 聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
ここで注目すべきポイントは君を“他人”と表記しているところです。
初めて会う訳ではなく、何週もわたって君とライブハウスで会っているはずです。
しかし、まだ他人と言わなければならない関係性。
つまり、連絡先や業種だけでなく、まだ名前すらも知らない関係性のままだということが分かります。
ここまで踏み込めていないのは、恐らく主人公の引っ込み思案な性格も要因なのでしょうか。
ですが、君は美麗で、近寄ることがおこがましいとさえ感じるほどの容姿端麗な女性だったのでしょう。
よって生まれる会話もどこか上辺だけで、距離を感じるものになっているのだと思います。
いつまでも終わらせたくない愛しい夜
揺れるフロアがダレだす
明け方に君は一人やって来たのさBPM 120 AM 5時から始まるこの夜を踊ろう
出典: 聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
君がやってくるのはライブハウスの客達の活気も下火になり、静寂が顔を覗かせ始めた頃。
ふらっと現れた君を見て心が一瞬にして奪われた初回の日を思い返しているのです。
AM5時とは深夜というどころか早朝。
君と過ごす時間はほとんど無く、もう夜の愛しい空間も終わりを迎えています。
そんな中現れる君とこの夜を終わらせることなく続けていたいという主人公。
切なくも叶わない率直な思いが映し出されています。
ダンスミュージックを聴きに来ていた週末が、君に会うための週末へと変化していく。
それは更に主人公のリキッドルームへの思いの火を燃やすことになっていきます。
音に溺れ、あなたに惚れたリキッドルームの夜
同じ音を求めて来た君との出会い
聴きたかったダンスミュージック リキッドルームに
続きまして 君は夜に混ざります
出典: 聴きたかったダンスミュージック、リキッドルームに/作詞:山口一郎 作曲:山口一郎
何の前触れもなく主人公の前に現れた君と主人公を繋いでいるのは、互いの好意とまではいえません。
今の状況下では同じジャンルの音楽が好きな者同士というだけなのです。
当楽曲では主人公の目線・主観でしか君の印象を読み取ることができません。
君は主人公とは違って、この週末の夜に対する期待値はそれほど高くは無いと考えられます。
ただふらっと遊びにくる感覚で、ライブハウスに訪れているのかもしれません。