サカナクション【ワンダーランド】歌詞の意味を考察！君って誰のこと？ワンダーランドで目にしたものとは

雪や砂の上を歩くような環境音からスタートする「ワンダーランド」。

サカナクションの7thアルバム『834.194』に収録された楽曲です。

イントロでは4つ打ちの軽快なドラムにミニマルなギターリフが絡み合います。

遠くへ旅に出る際の高揚感を感じさせるサウンドです。

リズムの力強さと反比例するように、サビ前までの山口一郎の歌声にはどこか穏やかさが感じられます。

サビでは一転力強く歌い上げる声は想いを伝えようという強い意志が宿っているかのようです。

この楽曲はニュース番組のテーマ曲にも選ばれており、お茶の間の人々にも広く聞かれ認知されている曲です。

同時にサウンドと歌詞の面では良い違和感が感じられるサカナクションならではの実験精神に溢れた1曲。

今回の記事では「ワンダーランド」の歌詞に注目し、その意味を紐解いていこうと思います。

それでは早速見ていきましょう。

冒頭のAメロで何度も繰り返されるこの歌詞。

サビに到達するまでこの「深い」という言葉が意味深に響き続けます。

この言葉から真っ先に連想されるのは、深い海へと潜っていく情景です。

何度もこの一節が繰り返されることで、どんどんと深い青色の海を潜っていく様子が思い浮かべさせられます。

しかしこれは本当に海を潜っていると考える他に何かの隠喩であると考える事もできるのではないでしょうか。

「君は」というように助動詞を「は」で表現していることからこれが「君」の深さについてだと読み取れます。

だとするならば、これは「君」の内側での出来事だとも考えられます。

つまりこれは自身の内側に潜っていく様子を表していると捉える事もできるのではないでしょうか。

自分の内に潜っていくというのはつまり、自分自身と向き合うことを意味しています。

この歌詞が指している人物は自分の中にある何かに対しての答えを探し出そうとしているのかもしれません。

また別の視点から見るのであれば、主人公が「君」の内側へと潜ろうとしているとも考えられます。

つまり主人公は「君」の心の中へと入り込もうとしているのかもしれません。

その「君」の心の深度に対して、彼が言及しているとも考えられるのではないでしょうか。

そしてここまで歌詞の意味を考えてくると、ある1つの疑問が生まれます。

それは、ここでいう「君」というのは一体誰のことを指しているのかということです。

主人公がその心に潜ろうとしているとすれば、これは主人公にとって大切な人であることは間違いがありません。

更にその心を知りたいと思うような人物であると考えると、家族ほど近しい存在ではないでしょう。

もう少し遠い距離感でありながら、近づきたいと思うような存在。

そう考えると、この「君」という言葉は主人公にとっての恋人のような存在だと考えるのが妥当でしょう。

また、これをこの楽曲の作者である山口一郎の視点から捉えるとまた違った見え方をします。

つまり「君」というのが「音楽」そのものを指しているのではないかということです。

そうすると冒頭の歌詞は「音楽は深い」という意味とも捉えられます。

彼はこの楽曲で音楽の底知れなさを歌っているのかもしれません。

ここまで考察してきてこの楽曲が持つ多面性が段々分かってきたのではないでしょうか。

Aメロの抑制的な歌声で歌われる繰り返される歌詞を抜けると開放的なサビへと突入していきます。

突如目の前の景色が開けたかのようなサウンド。

潜り続けその果てにどこかへ辿り着いたかのような感覚を私たちに与えます。

1行目の「雛」はまだその存在が生まれたてであるということが分かる言葉です。

普通、この言葉は鳥の子供に対して使われる言葉ですが、ここは「君」に対して使っていると思われます。

1行目の歌詞から連想させられるのは、「殻を破る」という慣用句。

このことからこの行では思索の末に新たな存在に生まれ変わったことを意味しているのかもしれません。

そして生まれ変わったことで「ワンダーランド」という場所を遠くに見ることができたのでしょう。

この言葉は一体何を意味しているのでしょうか。

この単語に関連していると思われるのがあの有名な文学作品です。