初の全米No.1「愛という名の欲望」
ライブ・エイドでも演奏
1979年10月5日発表、クイーンのシングル曲「愛という名の欲望」。
1980年発表のアルバム「ザ・ゲーム」にも収録されたクイーンの代表曲です。
フレディ・マーキュリーによる作詞作曲でクイーンが全米チャートで初めて1位を獲得した曲になります。
伝説のライブ・エイドでも披露されました。
このとき、フレディ・マーキュリーは普段のオベーションではなくテレキャスターを使用。
エレキ・ギターを奏でるフレディ・マーキュリーの姿はかなりレアです。
映画「ボヘミアン・ラプソディ」ではライブ・エイドでの演奏シーンとして当然に撮影されていました。
しかし本物のライブ・エイドではマイクがハウリングを起こしているので音源が使えないのです。
泣く泣くカットされた映画のボツ映像は2019年にDVDの特典映像として公開されました。
様々な想いがあふれる大ヒット曲ですからこぼれ話もたくさんあるはずです。
クイーンがロカビリーに挑戦
ジョン・レノンも好きだった曲
This thing called love, I just can't handle it
This thing called love, I must get round to it
I ain't ready
Crazy little thing called love
出典: 愛という名の欲望/作詞:Freddie Mercury 作曲:Freddie Mercury
クイーンがロカビリーに挑戦という話題は賛否を呼びます。
クイーンやフレディ・マーキュリーの雑食性はよく理解されていたのです。
しかしそれはハード・ロックがベースにあるからこそ支持されたのでした。
これほど見事なロカビリーに文句をつける筋合いはないのですが旧来のファンの一部は離れてゆきます。
それでもチャート・アクションこそ正直でした。
こういう音楽を求めていたと全英・全米でNo.1を獲得します。
ニューヨークでは復帰に向けて頑張っていたジョン・レノンが好んで聴きました。
この曲を含むアルバム「ザ・ゲーム」はバラエティーに富んだ内容になります。
この曲以上に論議を呼んだディスコ・ミュージックの「地獄へ道づれ」が含まれていたからです。
ロカビリー、ディスコ、ハード・ロック、バラード、アコースティックetc.
よくいえば色彩豊か、悪くいえば雑多なアルバム「ザ・ゲーム」。
こちらも全米でNo.1を獲得、日本でも洋楽なのに最高5位の大ヒット。
売上的にはこの頃がクイーンの全盛期になります。
愛には悩まされるもの
「愛って名前のこいつはオレの手に負えない
愛って名前のこいつと何とかやらなきゃならないのに
オレにはどうしようもないぜ
愛って名前のクレイジーでちっぽけなこいつは」
愛に悩まされるのは古今東西、和洋、男女問わず皆に共通する問題です。
この曲を書いたフレディ・マーキュリーは映画「ボヘミアン・ラプソディ」ではゲイと断定されています。
とはいえ史実とは違うようです。
故人のセクシュアリティを述べるのはあまりいい気がしないのですがフレディは男女とも愛していました。
そのため「愛という名の欲望」も悩ませているのは女性であるような描写があります。
セクシュアリティがどうであろうとも愛が人を悩ませることには変わりがないのです。
巨額の富を築いていた成功者のフレディ・マーキュリーでさえ愛には苦労したのでしょう。
愛と音楽の親和性
音楽への愛の歌でもある
This thing (this thing)
Called love (called love)
It cries (like a baby)
In a cradle all night
It swings (woo woo)
It jives (woo woo)
It shakes all over like a jelly fish
I kinda like it
Crazy little thing called love
出典: 愛という名の欲望/作詞:Freddie Mercury 作曲:Freddie Mercury
SwingやJiveなど音楽の楽しさが身体で伝わる単語が登場します。
愛の歌であって、音楽の歌であったのが「愛という名の欲望」です。
「愛って名前のこいつ
赤ん坊のようにゆりかごの中で一晩中泣きわめくんだ
こいつはスウィングするし
ジャイブもする
こいつはクラゲのように何処でも震えるぜ
オレはこいつがなんか好きかも
愛って名前のクレイジーでちっぽけなこいつがね」
フレディ・マーキュリーはこの曲を5分で作り上げたといいますから超が付く天才です。
愛というものの無邪気さや躍動感が詩となって響いてくるようで聴いていて嬉しくなります。
問答無用に目の前のお客さんを楽しませるために懸命だったフレディらしいエンターテイメント。
愛と音楽の親和性を述べてゆくのは優れた音楽家ならではの感性です。
愛には戸惑うことばかりだけれどもこいつが何となく好きだという辺りが可愛い。
この歌詞は本当にフレディの苦悩が書かれているというものではないので言葉を愉しむのが一番です。