ファンへの想い

こんな私たちだけど

大丈夫 僕が守るから 思い通りになる
未来だって
あるの ここで魅せるから
ただ側で期待していてよ
変な奴 でも最高でしょ 顔が忙しいね
朝と夜
陰キャ
陽キャ
だけじゃない
今の気分で生きる愛のセンス

出典: A INNOCENCE/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

楽曲タイトルになっている「innocence」という単語。

これには潔白純真純粋無垢といった意味があります。

歌詞のストーリーに沿って考えるならば、人間関係における感情の「純粋さ」と捉えるのが妥当でしょう。

そしてこの意味を含めて歌詞を読み返してみると、まさに純粋な様子が見てとれるのです。

いや、純粋という表現では少し語弊があるかもしれません。

自分の感情に素直で、欲望のままに生きている、というほうがわかりやすいでしょう。

遊び心も忘れない

さらに見ていくと、引用最後のフレーズで「あ!」と気が付くことがあるでしょう。

さすが、鋭いですね。

そう。この楽曲タイトル『A INNOCENCE』と「愛のセンス」がかかっているのです。

気の向くままに生きる様はまさに「innocence」。

そしてそれが主人公にとって、愛を表現するうえでの感性=センスということです。

言葉の韻だけでなく意味までかかっている、そんな言葉遊びも魅力的ですね。

最初から完璧じゃなくたって大丈夫

本当は僕もまだ歌えない
未熟な愛だって思うよ
でも 成長過程みせるのが
アイドルだって聞いた

出典: A INNOCENCE/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

ここにきて、これまで歌われてきた愛という感情の意味が見えてきました。

愛とは、恋愛感情というよりファンへの想いを表現しているように感じられませんか?

主人公であるアイドルは、日々ステージの上で必死に踊り、必死に歌っています。

しかしまだ、自分自身のパフォーマンスに納得していないのでしょう。

それはつまり、ファンへの想いを伝えられるようなパフォーマンスができていないということ。

しかし、その事実に落ち込んでいる様子は一切見られません。

むしろその逆。できるようになってやろう!と気持ちを燃え上がらせているのです。

違う目線で綴られる歌詞

語り手は誰?

誰にも言えない人生を 抱きしめさせてよ
汚れても
泥まみれで進んだのを
不純だなんて思わない
やり直さない消さなくていい そのままで素敵な
君なんだ
気づかない
馬鹿な
世界を
ちょっと変えたい 僕だってイノセンス

出典: A INNOCENCE/作詞:大森靖子 作曲:大森靖子

さて。ここの歌詞を読んで、あなたはどう感じたでしょうか。

どこか違和感を覚えませんか…?

そう。この部分の歌詞、実は視点が変わっているのです。

つまり、語り手がかわっているということ。

ここではアイドルではなく、そのアイドルを見つめる1人のファン目線で綴られています。

抱きしめる=受け入れる

メンバーは各々、様々な過去を抱えながらアイドルとしての活動を続けています。

その過去は決してすべてが順風満帆だったわけではありません。

むしろ世間一般でいう「普通」のレールからは外れてしまっていることばかりなのです。

しかしファンたちは、そんな過去も含めて受け入れる覚悟を持っています。

さらには公開している過去だけでなく、公表できないような真っ暗な過去でさえも受け入れるつもりなのでしょう。

ファンは彼女たちに優しく声をかけています。

自分たちの過去を誇りに思ってほしい。それもすべて含めて君たちだから、と。

むしろそんな魅力に気が付かない世間が間違えているんだ!と言わんばかりの勢い…。

そして最後に、そんな自分たちの気持ちを「innocence=純粋なる気持ちだと綴っているのです。

愛なんて言葉で伝えきれない、心の底からアイドルたちを想っているのでしょう。