きみの全部
こんなに居ても知らないまんま
でも私の前でどんだけ叫んだって
それも分かんないまんまだよ

出典: 知らん顔/作詞:上野羽有香 作曲:上野羽有香

真意を分かっていないのは彼氏だけではありません。

彼女も彼氏の全てを理解している訳ではないのです。

どれだけ長い時間を共有している彼氏・彼女でも、結局のところ赤の他人。

知り得ない部分があります。

そのことを歌詞の「どんだけ~」「分かんない~」が示しているのでしょう。

2人の全部
君は大好きなんて言うでしょ
でも私はそれ以上に君以上に
好きでいるのにな

出典: 知らん顔/作詞:上野羽有香 作曲:上野羽有香

分からない部分があるからこそ、「一緒に居たい」という思いが強くなるもの。

苦楽を共にする中、分からない部分も含めて「全部大好き」と思えるのではないでしょうか。

しかし、恋人への気持ちが強くなればなるほど、不安が大きくなるのかもしれません。

歌詞の「君~」「でも~」の部分。

彼氏との幸せを噛みしめる一方で、そこはかとない寂しさを感じている状況が描かれているようです。

寂しさを少しずつ受け入れることができれば、彼氏との日々が今まで以上に楽しくなるのでしょう。

【知らん顔】を聴いていると、恋愛中のネガティブな感情が吹き飛びます。

恋に憶病になっている方々も勇気を持って踏み出せるのではないでしょうか。

恋の終わりに

過去に思いをはせ

2曲目に収録されている【これからも】。

失恋による傷心から脱却しようとする人物「私」の目線で詞が綴られています。

心地の良い鼓動が
また海の奥に連れていく
誰にも知られなくても
わたしには必要な事なのよ

出典: これからも/作詞:上野羽有香 作曲:上野羽有香

歌い出しの部分です。

静まり返った場所で自身の鼓動を感じている「私」。

脳の器官・海馬に問いかけ、記憶をたどります。

この作業は次のステップに進む上で必要なのだ。

そう言い聞かせ、かつての恋人との思い出を振り返っているようです。

いつまでも恋人と過ごした日々の記憶に縛られたくない。全てをリセットしたい。

新しい自分へと生まれ変わるため、自身の頭の中を整理しているのでしょう。

しかし、別れた後でも、恋人との思い出は大切なものです。

何かの折に当時を振り返り、感傷に浸りたくなります。

お気に入りのTシャツと
チャックテイラーで
ハビタブルゾーンに連れ去って
永遠のトラウマになればいい

出典: これからも/作詞:上野羽有香 作曲:上野羽有香

Aメロ後半部分の歌詞です。

地球から何億光年も離れた未知の場所・ハビタブルゾーン

そこには、簡単に立ち入ることができません。

誰にも邪魔されない世界で過去に寄り添っていたい。

失恋の経験を「トラウマ」と称しながら、愛おしく感じているようです。

ふられた直後は、強い絶望感に打ちのめされそうになります。

心に深い傷を負う場合もあるでしょう。

それでも、人は生きる力を持っています。

時間が経つにつれて、トラウマを受け入れられるようになるのではないでしょうか。

失恋の悲哀が昇華された時、苦い思い出は貴重な人生経験になっているかもしれません。

これからも変わらない想い

君が言ったこと私は覚えてる
君が言ったこと君は覚えてない
君が言ったこと今でも信じてる
君が言ったこと君は今頃覚えてない
それでも今でも覚えてる

出典: これからも/作詞:上野羽有香 作曲:上野羽有香

曲の終わりに配された歌詞です。

類似のフレーズが繰り返されています。

「私」が「君」を想う気持ちの強さ。たくさんの体験を共有してきた「私」と「君」の歴史。

それらを巧みな言葉運びで匂わせています。

「君」は、ずっと前に「私」のことを忘れているかもしれません。

もしも忘れられていたとしても、「私」の気持ちは変わらないでしょう。

「私」は、心の中に「君」の言葉1つ1つを刻み、宝物として保管し続けるのではないでしょうか。

例え年月が流れても、ずっと大事な人との思い出を温めていたい。

そのような想いが題名【これからも】と歌詞に込められているのではないかと推測できます。

大切な人との別れの時は勿論のこと、卒業シーズンにもピッタリの一作です。

等身大の登場人物に好感

劣等感を清々しく描写

3曲目に収録されている【どうせ】。

不器用な女子から着想を得ているようです。