大分発の超新星ロックバンド、SIX LOUNGE
また若い世代に強力なバンドが表れましたね。彼らの名前はSIX LOUNGE。大分県出身の、ギターヴォーカル、ドラム、ベースといったシンプルな構成のスリーピースバンドです。
バンド構成そのままといいますか、彼らの奏でる音楽も超シンプル。
気持ちがいいほどのストレートなロックを奏でます。
個性派を狙ったようなバンドが多いここ最近ですが、ここまでど真ん中の直球ロックはあまり見ないので、とても新鮮な印象を与えています。
ロック復活の鍵となるか?
この時代に、こういったバンドが頭角を現してきたことが持つ意味をちょっと考えてしまいました。
失われたといわれ、一部では死んだとまでいわれるロックの時代がまた戻ってくるのではないでしょうか。
メンバー全員20歳そこそこ、見た目の雰囲気からしてもかなり若いと思われます。
20歳前後の若い世代のバンドがこういうロックな音楽をやる。音楽シーンは少しずつ変わってき始めている気配を感じて仕方がありません。
演奏面や、表現力においては確かに若さゆえの荒削りな感じがあることは否めませんが、その瑞々しい感性や勢いはそれを補ってあまりあります。
これからどんな風に成長していくのか、楽しみなバンドの筆頭格といえるのではないでしょうか。
「朝焼けプロムナード」収録アルバムを紹介
1stアルバム『東雲』
今回ご紹介する「朝焼けプロムナード」が収録されているアルバムは『東雲』。
2016年に発売された、記念すべき彼らの1stフルアルバムです。
アルバムを通して聴いたとき、最後に”久しぶりにロックを聴いた”、そんな気持ちにさせてくれます。
アルバム1枚丸ごと、最初から最後まで彼らの表現するロックの世界に満ち溢れていて、清々しいほど。
音楽シーンは一巡してまた戻ってきた、ここから新しい時代のロックが始まるような、そんな期待を抱いてしまうアルバムになっています。
ちなみに彼らの所属レーベルは、My Hair is Badやyonigeを世に送りだした大阪のインディーズレーベルのTHE NINTH APOLLO。
この流れ、もしかしたら数年後には次の音楽のメインストリームにすらなるのではないか、と思ってしまいますね。
爽やかな歌詞付きのMV
爽やかな空気感が魅力の「朝焼けプロムナード」のMV。
題名通りの朝焼けではなくて、昼間に撮影されているようですね。
風にそよぐギターヴォーカルのヤマグチユウモリの髪が、なんともいえず爽やかで良い空気感を出しています。
一曲通して演奏する姿がそのまま収められている映像は、凝りに凝ったMVが多い最近では、その音楽性と同じく逆に新鮮に見えてしまうもの。
歌詞も表示されるので、丸ごとその世界観を堪能できますね。
歌詞の世界を垣間見る
ここからは、「朝焼けプロムナード」の歌詞に注目してみましょう。
”青い籠”とは……?
期待値
涙
平行線
この先に見えた未来像
地下道
光
追いかけた記憶探り
笑い出した
陽が落ちて
夜に流れだす
もしも明日僕らが神様になったら
この世界を変えてしまうかな
信じ続けようか
この青い籠の中で
出典: 朝焼けプロムナード/作詞:SIX LOUNGE 作曲:SIX LOUNGE
これまでの人生で経験してきたこと。
誰かに期待したり、期待されたり。
涙を流すような辛いこともあったし、自分が誰かに涙を流させたかもしれない。
そして志した未来。
幼い頃夢見た荒唐無稽な夢だったり、なんとなく現実が見えてきた学生のころの漠然としたものだったり。
世間の恐ろしさや厳しさを少しずつ感じてきて、この先の未来は暗い地下道を行くようなものになるのか。
それとも燦燦と光を浴びるようなものになるのか。
そんなことを考えながら、今まで必死になって追いかけてきたものを思い返しているようです。
でも、全ては過ぎたこと。
まだまだこの先に続く未来のある若い彼らは、そんなことを笑い飛ばそうとします。
少しの痛みと、郷愁を感じながら。
もしも明日を変える力が自分にあったなら。
世界を変えてしまいたいと願いますが、望むのは一体どんな世界でしょうか。
それとも今自分の信じているものを信じ続けていていいのかと、自問自答します。
青い籠は朝焼け前の白んできた夜空のことと、自分の青さ、両方を指しているのではないでしょうか。
幻
奇跡
見えないもの
そこにある
いつから信じだっけ
映画館
彼女
スクリーンの向こう側に
息はあるのか
もしも明日僕らが神様になったら
この世界を変えてしまうかな
信じ続けようか
この青い籠の 中で
朝焼け待つ君は僕に触れたけど
もう壊れそうな
僕の心は楠んだ世界の中だ
出典: 朝焼けプロムナード/作詞:SIX LOUNGE 作曲:SIX LOUNGE
幻や、奇跡は目に見えません。
それらのものは、幼い頃は普通に身近に存在していました。
大切なものとして、当然のように信じていました。
成長するにつれていつしか信じるものは、彼女や、彼女と過ごす楽しい時間に代わっていきます。
昔は当然のようにあると信じて疑わなかったスクリーンの向こうの世界。
美しいヒロインも、強くて男前なヒーローも、生きて存在していると思っていました。
もう、今ではそんなことはあり得ないと知ってしまいました。大人になって。
それは仕方のないこと。
人は誰もがそうやって大人になっていくのです。
夢と現実の折り合いをつけながら。
それでも青さを抱えた”僕”は、この世界を何かを変えられるか、現実を変えられるかと信じようとします。
自らの青さを実感しながらも。
大人になるにつれて失くしていくものと、受け入れなければならない現実。
その狭間で揺られて壊れそうになっている”僕”の心には、”君”の声は届きません。
朝焼けを待つ=”僕”の迷いや青い若さを待っていてくれる”君”が心に触れようとしていてくれるのに、その余裕もないようです。
それも青さの故でしょうか。