綻びとは何?
不安未満の穴ひとつ
群青色の空が広がる綻び
出典: 恋の始まる方程式/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
ここで何か心情の変化があったことが推測できます。
何が起きたのでしょう?
「綻び」という言葉には複数の意味があります。
- 縫い目がほどける
- 蕾が咲きかける
- 表情が和らぐ
- 秘めた気持ちが外に出る
1行目では気持ちが表現されていることから、4の意味が近い気がします。
胸の内に秘めていた気持ちが溢れだすといったニュアンスでしょう。
心に開いた「穴」から、容器に入った水がこぼれるように溢れだしています。
その思考の内容を読み解いていきましょう。
ストップをかけつつも…
「好きになっちゃいけないんだ。」
それは恋が始まる方程式
消しゴムでこすれない思い出には
いつでも 君がいたことに気づいた
出典: 恋の始まる方程式/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
耳に残るフレーズですね。
なぜ好きになることにストップをかけているのでしょうか?
主人公は、今までずっと好きになることを我慢してきたことがうかがえます。
でも、君との思い出はどうあがいても消すことはできないようです。
大切な記憶の一部として、心の奥底に刻み込まれているのですね。
もうここまできたら「君を好きになってしまった」といえるでしょう。
最後の行では、自分の中で膨らんだ大きな恋心に気が付き始めたのだと思います。
赤だけない?
買い足したはずでも
赤いクレヨンだけなくて
この気持ちは何だっけ?
名前は何だっけ?
透明なままにしていた
出典: 恋の始まる方程式/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
「赤」といえばハートのカラーです。
でも、主人公は赤いクレヨンだけ持ち合わせていません。
これではハートを描くことができませんね。
つまり、主人公は上手に愛情を受け止めることができないのではないでしょうか?
そもそも、愛情とはどんなものなのか分かっていないのかもしれません。
愛情を認識するための土台が育っていない印象を受けます。
また、先ほどは「好きになること」を否定すらしていましたね。
今まで生まれ育った環境のどこかで、愛情を抑制するようになったのでしょう。
抑制の背景には、愛情に対するネガティブな過去が隠れている可能性もあります。
数学のようには進まない
恋に「正解」を求める主人公。
方程式を解くように恋も紐解こうとしますが、思うように進みません。
なぜ「正解」にたどり着けないのでしょうか?
恋という未知の問題
もしもばかりを数えては
過ぎ去る今日と書き込めずいる問一
出典: 恋の始まる方程式/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
タイトルや歌詞に登場する「方程式」という言葉。
愛情を知らない主人公はにとって「恋」は、数学の問題に取り組むような感覚なのでしょう。
もしもこう進めたらどうなるのだろう?
もしも失敗したらどうしよう?
正解が分からないからこそ、ためらってしまいます。
そんな風に想像ばかり先走って「恋の方程式」を解くペンがなかなか進みません。
恋をすると何も手に着かなくなる心理も表現しているのでしょう。
単純にはいかないのが恋
足し引きじゃ治まらない
心は最難関のテスト
口に出す一秒で
「これから先」「これまで」
変えてしまうなんて
出典: 恋の始まる方程式/作詞:まふまふ 作曲:まふまふ
先ほどは恋を数学に例えましたが、心は簡単な足し引きで図れません。
発言の内容やタイミングによって展開は大きく変わるでしょう。
まさに可能性は無限大。
また、未来だけでなく、過去の印象ですら簡単に塗り替えられてしまいます。
これにワクワクする人もいれば、頭を抱える人もいるはず。
主人公は後者であるようです。
心の持つ可能性よりも複雑性に目を向けて、戸惑っています。