『大停電の夜に』が震災後話題に
アルバム『WORLD RECORD』収録
ceroは東京都で2004年に結成された3人組のバンドです。都会的でありながらも、どこかなつかしさを感じる独特な音楽性が人気を集めています。
「cero」というバンド名は、Contemporary Exotica Rock Orchestraの略です。
そんなceroの『大停電の夜に』は、2011年1月にリリースされたアルバム『WORLD RECORD』に収録されています。
このアルバムはceroの記念すべき1stアルバムで、東京らしいインディー・ポップとして高く評価されました。
独特なポップセンスと、程良くレイドバックしたリラックスサウンドが心地良いです。
PVが制作されたことや現在でも高い人気を誇っていることからも『大停電の夜に』は、このアルバムのリード曲といえるでしょう。
また、彼らの代表曲の1つでもあります。
浮遊感のあるポップソング
ゆったりとしたリズムにメロウなギターがアクセントなったポップサウンドは、まったりとした気持ちになりますよ。
そのような浮遊感のあるサウンドに、リバーブの効いた髙城晶平の歌声が最高によく合っていてたまりません。
そして、不意に生まれた「不可思議な夜」を切り取ったような歌詞が胸にすっと響きます。
震災後に話題になった理由は?
この曲は、2011年3月11日に起きた東日本大震災よりも前に制作された楽曲です。
そのため、けして震災で発生した停電の様子を歌ったわけではないのです。
しかし、この曲は震災によって計画停電などを体験した方から共感され、人気を集めました。
この歌詞で描かれている停電の様子が、日常的でとても鮮やかだったことがその理由ではないでしょうか。
本人たちとしては思いもよらないことから注目を浴びるようになり、とても不思議な感覚だったと語っています。
PVを紹介
『大停電の夜に』のPVは夜の街中が映し出される静かな映像です。
ceroのメンバーがリラックスした様子で演奏している風景はとても叙情的な雰囲気があります。
押し付けがましい部分は1つもなく、それでいて不思議と胸がアツくなるようなおだやかな熱を感じないでしょうか。
歌詞の意味を解釈
『大停電の夜に』の気になる歌詞の意味を解釈していきます。
街のざわざわに耳を傾ける
大停電の夜に 君は手紙書く手をとめ
窓を開けて目を閉じ 街のざわざわに聞き入る
出典: 大停電の夜に/作詞:高城晶平 作曲:高城晶平
「大停電の夜に」は、部屋の明かりも消えてしまいます。文字も見えなくなりますので、手紙を書く手は自然と止まるでしょう。
まわりはどのような様子か気になり、窓を開けます。しかし、真っ暗で何も見えなかったのではないでしょうか。
そして、そっと目を閉じて、普段は気にも留めない「街のざわざわ」に耳を傾けるのです。
停電になると、当たり前ですが電気で動いているものはすべて止まります。そうすると、1つ1つの音がより鮮やかに聞き取ることができるでしょう。